山田洋次監督「神戸で撮ってよかった」

 映画監督の山田洋次氏(83)が15日、阪神・淡路大震災から20年を前に神戸市内で開かれた「市民のつどい」に参加し、震災の年の秋に同市長田区で映画「男はつらいよ」シリーズ最終作を撮影した思い出を語った。

 また、AKB48グループの柏木由紀(23)、横山由依(22)らがこの日、同市内で行われた防災イベントに出演。トークセッションに参加後、ミニライブで最新シングル「希望的リフレイン」など計8曲を披露した。

 山田監督は震災20年を前に行われたイベントで「今、あの映画を神戸で撮って本当によかったと思います」と、しみじみ語った。

 約1000人を集めた会場では、震災の9カ月後にプレハブ小屋が並ぶ長田でロケが行われた映画「男はつらいよ 寅次郎紅の花」の最終シーンが上映され、万雷の拍手が起こった。翌1996年に主演の渥美清さんが死去。シリーズ最後の作品となった。

 山田監督は95年、被災地からロケ招致を受けた際に「商業映画を被災地で撮るなんて失礼になる」と、一度は丁重に断ったことを回想。その後も署名活動が行われ、「寅さんの陽気さをもらい、わっと元気になりたい」という願いを受け、脚本を書き換えてロケを行ったという。

 寅さんが被災した人々を「ご苦労さまでした」とねぎらって終わる、渥美さんの遺作。山田監督は「地元の方々に差し入れもいただき、本当に温かく迎えていただきましてね」とロケを振り返った。渥美さんの体調が悪いことは察していたといい「もしかしたら最後かもという覚悟もありました」と明かした。

 この日は当時、誘致に動いた市民らも駆けつけ「元気をいただきありがとうございました」と感謝。山田監督は「すてきな催しに呼んでいただいたと渥美さんに報告したい。天国で喜んでいると思います」と返礼した。

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