坂本龍一 オスカー獲得監督と夢タッグ
中咽頭(いんとう)がんのため療養していた音楽家の坂本龍一(63)が、来年のアカデミー賞大本命とされる米俳優レオナルド・ディカプリオ(40)主演映画「レヴェナント:蘇えりし者」(来年4月公開予定)の音楽を手掛けることが12日、分かった。今年のアカデミー賞4冠映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督(52)との初タッグで、オスカー連覇へ後押しする。
監督のオスカー連覇、4度ノミネートも無冠のディカプリオのオスカー獲りに注目が集まる作品を、坂本の音楽が盛り立てる。
イニャリトゥ監督は自身の映画「バベル」(06年)で、坂本のオリジナル・アルバムの楽曲「美貌の青空」を使用。映画「ラストエンペラー」(87年)で日本人初のアカデミー賞オリジナル作曲賞を受賞するなど世界でも有名な坂本との“共演”を熱望したことから夢タッグが実現した。
映画はアメリカ西部の広大な未開拓の荒野を舞台に伝説の探検家ヒュー・グラス(ディカプリオ)のサバイバルを描く。坂本が音楽監督となり世界観を表現する。すでに9月末に米シアトルでレコーディングを行っているが、曲数や曲調はベールに包まれている。
坂本は復帰後、吉永小百合主演、山田洋次監督の映画「母と暮らせば」の劇中音楽を手掛けているが、海外映画の音楽を手掛けるのは初めて。「今、世界で一番力のある監督と仕事をする機会を得てこれ以上に光栄なことはありません」と腕を鳴らす。イニャリトゥ監督も「やっと龍一と協力することができてうれしい。彼は類まれな才能の持ち主で、私は長年にわたって彼の作品の大ファンだ」と信頼を寄せる。
2016年のオスカー大本命作品を手掛けるだけに、坂本の「ラスト-」以来の作曲賞受賞にも期待が集まりそうだ。