「ザ・シンプソンズ」のクリエーター、インド系キャラクターのアプーを擁護
「ザ・シンプソンズ」の原作者マット・グレイニングが、登場人物のアプー・ナハサピーマペティロンを庇う発言をした。インド系アメリカ人でコンビニエンスストア「クイックEマート」の経営者というアプーのキャラクター設定が、人種差別的描写にも関わらず、いまだにアニメに登場していると非難を受けてのことだった。
議論を起こしたのは、インド系俳優ハリ・コンダボルによる2017年のドキュメンタリー映画「アプーにまつわる問題」だ。アジズ・アンサリやウーピー・ゴールドバーグ、カル・ペンなどの発言をまとめたこの映画の中では、アプーがアメリカの日常的な人種差別を助長しているか否かや、白人俳優がインド人キャラクターの声をあてることが、(有色人種蔑視の)ミンストレル・ショーにあたるかどうかなどが話し合われている。
これを受け1989年からアプーの声を務めるユダヤ系白人俳優ハンク・アザリアは、自分の役作りで気分を害した人に謝罪したいと声明を出したほか、役を「降板するつもり」だとも明かしている。
アニメ「ザ・シンプソンズ」側はこの議論に対する見解を、4月8日放送のエピソード「ノー・グッド・リード・ゴーズ・アンパニッシュド」の中で、アプーは1990年にポリティカル・コレクトネスが台頭する以前に作られたキャラクターだと主張することで示したようだ。
ニューヨークタイムズ紙に対して、グレイニングは次のように話している。「私自身、アプーが大好きです。自分の大好きなキャラクターが誰かを傷つけているというのは残念です。ですが一方で、この議論が悪化しているとも思います。対話の色合いがなく、暴力的なものになっています」
「今後それがどうなっていくかは分かりません。当時私はこのキャラクターをサタジット・レイの映画、『オプー三部作』にちなんで名付けたんです。私はインドの文化も映画も音楽も大好きです。ですからあの名前は少なくとも学術的な思いが込められていることを表せると思っていました。子供たちが大きくなった時、傑作映画である『オプー三部作』を見てあの名前の由来を知ることが出来ると」
そしてグレイニングは非難を受けたからという理由でアプーというキャラクターを今後登場させないつもりはないとして、制作側がアプーとその家族についての面白い話を思いつけば、引き続きスプリングフィールドの一員として登場させる予定だと続けた。(BANG Media International)