マーヴィン・ゲイ 1972年の幻のLPが遂にリリース
マーヴィン・ゲイの1972年制作の未発表アルバム『ユーアー・ザ・マン』が彼の生誕80周年を記念してリリースされる。1971年発表の傑作アルバム『ホワッツ・ゴーイン・オン』に続く幻のアルバムがマーヴィンの誕生日の4日前となる3月29日に解禁となる。
2枚組レコード及びCDでリリースされる同作はタイトル曲以外は未発表曲となっていて、現在エイミー・ワインハウスのプロデューサーだったことでも知られるサラーム・レミによってリミックスされた『マイ・ラスト・チャンス』がストリーミング配信で拝聴できる。
1984年4月、実の父親による銃弾で倒れ44歳の若さで帰らぬ人となったマーヴィンだが、『ホワッツ・ゴーイン・オン』の成功後、作品を自分の管理下に置くことが可能となり、モータウンの前身タムラ・レコードと100万ドルに及ぶ再契約を結んでいた。
そして、当時タイトル曲『ユーアー・ザ・マン』がビルボード100で50位止まりだったのを理由に同タイトルのアルバムをお蔵入りし、ブラックプロイテーション映画の『野獣戦争』のサントラ『トラブル・マン』を発表するに至っていた。
ちなみに、今回『ユーアー・ザ・マン』収録の全17曲の中には1972年発表のクリスマスシングル『アイ・ウォント・トゥ・カム・ホーム・フォー・クリスマス』のロングバージョンや、未発表のインストゥルメンタルのBサイドバージョンも含まれている。
同作の何曲かは過去にリリースされてはいるものの、17曲中15曲がレコードとしては初収録で、今回はマーヴィンの伝記を書いたデイヴィッド・リッツによるライナーノーツも見ものとなっている。
そのデイヴィッドによる伝記『マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル』の中でマ-ヴィンはこう語っていた。「今や私はやりたいことは何でもできるようになった。それは多くの人々にとって祝福なのだろう。しかし私にとってそれは重荷だった」「人が言うには私は頂点に上り詰めたらしいが、それは私を怖がらせた。母親はかつてこう言ったんだ。『早く熟せば、早く腐る』と」「頂上に辿り付けば後は落ちる以外にない」「いや私の意識を奮い立たせ、まだ上らなくては、さもないと後塵を拝することになる」「この戦いはいつ終わるのか?それが私の知りたかったことだ。自分の魂の中に巣くう戦いは」
今回モータウンからは同作の他、マーヴィンの1965年発表のカバーアルバム『ナット・キング・コールに捧ぐ』のリイシュー盤が発売予定となっている。(BANG Media International)