有名ロックバンドの「赤ちゃんジャケ写」訴訟 男性モデルの訴え棄却
ニルヴァーナの「ネヴァーマインド」のカバー写真を飾ったスペンサー・エルデンさんの訴えが棄却された。1990年発表の同作のジャケットで1ドル札が付けられた釣り竿に向かい水中を裸で泳ぐ被写体の赤ちゃんだったスペンサーさんは昨年、同バンドに対し、性的搾取の罪で提訴、その写真は児童への性的虐待だったと主張していた。
この訴えに対し、現存するメンバーのデイヴ・グロールとクリス・ノボセリック、故カート・コバーンの元妻コートニー・ラヴ、撮影したカメラマンのカーク・ウェドルの弁護士らが先月、申し立てを提出。エルデンさん側には先月30日までの返信期限があったものの、それを過ぎたことから今回フェルナンド・M・オルギン判事が同件を棄却。エルデンさんには今月13日までの修正案の提出を要請している。
一方、同バンドの弁護士らは、この写真によって永続的な精神の不調が出たという、エルデンさんの訴えを認める要因が見当たらないと主張。児童ポルノだとする意見についても真面目に取り扱うべきではなく、彼の論理で言うなら同作を所有する人々全員が児童ポルノ所有で有罪になると反論していた。
さらに弁護士らはこう続けている。「彼はあの写真を再現しお金を貰っていました。何度もです。あのアルバムのタイトルを自分の胸にタトゥーとして入れ、トーク番組ではヌードカラーのつなぎを着てその姿を真似て登場していました。そのアルバムカバーにサインを入れeBayで販売、女性をひっかける際の話題としても使っていたのです」
エルデンさんが自身の成長及び教育をも阻害し、精神および心理治療を受けるに至ったという同作には、「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」や「カム・アズ・ユー・アー」などが収録され、ロック史に名を残すアイコニックな作品として知られている。
ちなみに過去にエルデンさんは同作の10、20、25周年記念に自ら水着を着てその写真を模倣するなどしていた。またある時はポジティブに、別の時には自身の人権がはく奪されたと明かすなど、その写真に対して正反対のリアクションを繰り返している。