世界的歌手、96歳で死去 ガガとも共演、世界中の著名人が追悼

 アメリカのポップ・ジャズ歌手トニー・ベネットが死去した。96歳だった。世界中で人気を博しフランク・シナトラからレディー・ガガまで数々のアーティストと共演、その輝かしいキャリアで功労賞を含め20のグラミー賞を受賞したトニー、2016年にアルツハイマー型認知症と診断された後もパフォーマンスやレコーディングを続けていた。

 21日、広報のシルヴィア・ワイナー氏がトニーの他界を発表、来月の誕生日の2週間前のことだったという。

 現在死因については発表されていないものの、ニューヨーク市の自宅で亡くなったとされている。

 1952年、20代半ばでファーストアルバムをリリース、年代ごとに米チャートに入り続ける人気を見せたトニー、2021年に認知症を公表し、「人生は贈り物だ。例えアルツハイマーと共にあろうと」とSNSにコメントしていた。ちなみに同年にトニーは最後のコンサートを敢行、ガガとの共演も話題となっていた。

 ちなみに先輩歌手のフランク・シナトラは生前、トニーについて「世界で最も偉大なポピュラーシンガー」と話していた。

 レコーディングアーティストとして1949年から活躍、50年代から60年代始めまでトップパフォーマーの1人に君臨したトニーは、息子ダニーのマネージメントのもと、90年代に再びキャリアを盛り返し、00年代にも精力的に活動、ヒーローとトニーを仰ぐエイミー・ワインハウスと『ボディ&ソウル』で共演したり、ダイアナ・クラールとのデュエットアルバムをリリースしていた。

 一方、ガガとは2014年のデュエットアルバム『チーク・トゥ・チーク』に続いて、2021年に『ラヴ・フォー・セール』を発表。トニーの最後のアルバムとなった他、同作のリリースの2カ月前に行われたニューヨーク市のラジオシティ・ミュージック・ホールでのガガとの共演が、トニーにとって最後の公の場となった。

 トニーは1926年8月3日に、ニューヨーク市のクイーンズ区でイタリア移民の両親のもと誕生。父親は青果商、母親は裁縫師の貧しい家庭で育ち、子供の頃から歌を歌い始め、音楽の他、工業芸術高校では終生の趣味となる絵画も学んでいた。1944年18歳で徴兵され、第2次世界大戦中、ヨーロッパの戦区で歩兵として闘い、ドイツの強制収容所の解放に従事した。

 その後、演劇関係の教育機関アメリカン・シアター・ウィングで声楽をミリアム・スピアーに師事。アーサー・ゴッドフリーのタレントスカウト番組への出演がブレイクのきっかけとなった。

 その後、歌手のパール・ベイリーに雇われパフォーマンスに参加した一方、コメディアンのボブ・ホープがそのパフォーマンスを見て、ニューヨークのパラマウント劇場での自身のショーにトニーを出演させることとなる。

 またマーティン・スコセッシ監督の1990年のギャング映画『グッドフェローズ』ではトニーの1953年の『貧者から富者へ』のパフォーマンスが使用されていた。

 妻スーザン・ベネディット、息子2人と娘2人そして孫9人を残して旅立ったトニーに多くの著名人が追悼の言葉を寄せており、2011年のトニーのアルバム『デュエッツ2』で共演したマライア・キャリーはツイッターに「安らかに。トニー・ベネット。世界で最も愛され、尊敬された伝説のシンガーの1人と仕事ができたことは名誉でした。あなたの不在を寂しく思います」と、エルトン・ジョンはインスタグラムに「トニーが亡くなったことを知りとても悲しい。疑いなく一流のシンガー、人間、パフォーマーだった。かけがえのない人だった。僕は彼を愛し憧れていたよ。スーザン、(息子の)ダニー、そして家族たちにお悔やみを」と、ビリー・ジョエルは、「ジャズからポップへ移行した時代の唯一無二の声の持ち主」と称賛、一緒に仕事ができた喜びと共に、自分が出会った中で最高の人間の1人だったと言葉を寄せた。

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