「シュガーマン」のシクスト・ロドリゲスが死去 数十年音楽業界から姿を消し肉体労働者に 映画で再びスポット
米歌手シクスト・ロドリゲスさんが死去した。81歳だった。2012年に自身の軌跡を追ったドキュメンタリー映画『シュガーマン 奇跡に愛された男』がアカデミー賞を受賞、音楽キャリアを復活させていたシクストは、今年2月に脳卒中に起こし、3月に手術を受け回復に向かっていたものの、7月の誕生日から1カ月後の8月8日にこの世を去った。
シクストの公式ウェブサイトはこう声明を出した。「私たちSugarman.orgは、シクスト・ディアス・ロドリゲスが本日亡くなったことを、大きな悲しみとともにお知らせします」「親愛なる魂が安らかに眠りますように」
ロドリゲスとして知られるシクストは、1970年代にモータウン・レコードの元会長クラレンス・アヴァントが設立したサセックス・レーベルと契約を結び、故郷のデトロイトで1970年に『コールド・ファクト』、1971年に『カミング・フロム・リアリティ』のアルバムのリリースしたが、成功とは結び付かず、音楽業界から消え去った。だが数年後、南アフリカ共和国で初アルバムの収録曲「Sugar Man」が、反アパルトヘイト闘争のシンボルソングとして熱狂的支持を得て、爆発的にヒットした。
2013年の第85回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞を受賞したドキュメンタリー映画は、ロドリゲスが人気を誇る南アフリカのファン2人が、70年代に同国でツアーを行ってから数十年消息を断っていたロドリゲスを探そうとする過程を追ったもので、デトロイトで肉体労働者となっていた本人を発見していた。
映画の公開をきっかけに、ロドリゲスの同アルバム2枚は全米チャートにランクイン。サウンドトラックも全米チャートにランクインし、ロドリゲスは再びミュージシャンとして脚光を浴びた。
ロドリゲスはデトロイト・ニュース紙にこう語っていた。「素晴らしいオデッセイ(長い冒険旅行)だった。この何年もの間、自分のことをミュージシャンだと思っていたけど、現実が起こったんだ」