カリスマ歌手 ボブ・ディランとのコラボ曲がお蔵入り 完成目前に著作権譲渡の撤回を通告される

 歌手ポスト・マローンがボブ・ディランの詞を使い作っていた曲が、日の目を見ない結果となった。ボブが未発表のトラック『ビー・ノット・ディシーヴド』の著作権を手放したことから、音楽プロデューサーのマイケル・キャッシュによるプロジェクト『ジ・アティックMP3s』を通してポストはその詞を使いレコーディングに取り組んでいたものの、最終的にキャッシュがボブの代理人ジェフ・ローゼンから、同曲の著作権の譲渡を撤回したいと言われたという。

 キャッシュはローリングストーン誌にこう話す。「枠組みは終わっていた。いくつかの色彩が載せられたものの、完成はしていなかった。優雅さ、更なる層が必要だった。まだ完全な音楽作品になっていなかったが曲であったことは確実だ。始まり、真ん中、終わりがあり、ブリッジやサビもあった。けどそれは完成させる必要があったんだ」

 そして、同曲の制作過程についてキャッシュはこう続けた。「ローゼンからある時点で言われたよ。『あの詞(の権利)を撤回する予定だ』って。ボブとローゼンは物事を特定のやり方で進めるんだ」「あっという間に決定して、それから。正直に言えば、彼らは『これは完成させるべきだ』って感じだったのにね」「誰も期待を管理していない感じだった。誰もコミュニケーションを取っていないという。素晴らしい音楽が作られていたのに、それからおかしくなった。本当におかしく」

 キャッシュの同プロジェクトには他にもケンドリック・ラマー、J.コールらが参加する予定だった。エルヴィス・コステロ、マーカス・マムフォード、テイラー・ゴールドスミスらがボブの詞を使いレコーディングした2014年のボブのトリビュートアルバム『ロスト・オン・ザ・リヴァー:ザ・ニュー・ベースメント・テープス』に近いものを作ろうとしていたという。

 一方ポストはボブの歌詞を聞き涙を流していたそうで、キャッシュはこう続けた。「純粋さの喪失、多くの人間が経験していく過程についての詞だ。両親、保護者、指導者、誰も傍にいない、権利を奪われた身寄りのない大勢の子供たちのようなね。外に出て、自分自身の道を開くことについて語ったもので、読めばわかるけど、間違いなく詩だよ。美しい」

 カート・コバーンやジョン・レノン、エルヴィス・プレスリーと共にタトゥーも入れるほどボブのファンだというポスト、2017年にはこう語っていた。「ボブ・ディランの大ファンなんだ。ボブ・ディランの素晴らしいタトゥーも入っている」「彼は天才で、孫が彼の前で僕の音楽をかけたらしいんだ。彼はその音楽を気に入ってくれて、『詞にヘルプが要る』って」

 他にもセカンドアルバム『ビアボングズ・ベントレーズ』でギターを演奏するきっかけになったのもボブで、他にもボブが5thアルバム『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』でフォークミュージック界では異例のエレキギターを使用したことについても、インスピレーションを受けたとポストは語っていた。

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