巨匠映画監督 最新作を最後に引退か 資金集めの苦労などにウンザリ
ウディ・アレン監督(87)は、最新作を最後に引退を考えているようだ。イタリアで開催中のべネチア国際映画祭に、50作目となるロマンティック・スリラー『クー・ドゥ・チャンス』を携えて戻ってきたアレン監督は、また作品を製作するという考えに関して、2つの要素があると語った。
アレン監督はバラエティ誌にこう語っている。「これが私の50本目の映画で、もっと映画を撮りたいかどうか決めなければならないと思っていた。考えたことは2つある。ひとつは、映画のために資金を集めるのは、いつも頭が痛くなるようなことだ。そして、私はそれをまた経験したいか?ということ」「映画を作ることはまた別のことだ。そのための資金集めは面倒だし、華やかなものでもない。だから今、何者かが影から飛びだしてきて、『あなたの映画を作るためにお金をあげるよ』と言ってくれたら、次の映画を作る上で影響力のある要因になるだろう」
またアレン監督は、テレビやストリーミング・プラットフォームに登場する前に、多くの映画が大スクリーンで短期間上映されるようになった業界の現状が、もうひとつの要素だと続ける。「私は映画を作り、2週間後にはテレビやストリーミングで放映されるというアイデアが好きではないんだ」「これは文化的な高みではない。昔は素晴らしい映画がたくさん作られた。映画を昔観に行きたいと思ったとき、以前は3、4本はどうしても観たい映画があったもんだよ」「毎週、トリュフォーやフェリーニやイングマール・ベルイマンや黒澤の映画があった。今は、そもそもアメリカで上映されるヨーロッパ映画がほとんどない。私たちは文化的に素晴らしい場所にいないのだと思う。映画は特にね」
また養女ディラン・ファローに性的虐待を告発されたことのあるアレン監督はキャンセルカルチャーについて言及、「私は自分の映画を作る。変わったのは映画の見せ方だ。私の仕事は、いつも同じルーティンワークなんだ。脚本を書き、資金を集め、映画を作り、撮影し、編集し、完成させる。(今と昔で)キャンセルカルチャーが違うということではない。違いは映画の見せ方だ」とし、自身の作品は「同じ」プロセスを踏んでいると語っている。