ヒップホップの名曲めぐり元プロデューサーが怒りの提訴 制作に重要な役割を果たすも印税が支払われず
ラッパーの2パックの曲『ディア・ママ』の印税をめぐり、ニューヨーク市のバス運転手兼ミュージシャンで、かつて「マスター・ティー」という名でプロデューサーやDJとして活動していたテレンス・トーマスが訴訟を起こしている。1995年にリリースされたアルバム『ミー・アゲインスト・ザ・ワールド』に収録された同曲の制作に重要な役割を果たしたとして印税を支払う義務があると訴えている。
ミュージック・ビジネス・ワールドワイドが報じたところによると、この曲の共同プロデューサーとしてクレジットされていたトーマスは、「出版著作権について適切かつ完全にクレジットされたことは一度もなかった」と主張している。
訴訟の中でトーマスは、2パック本人へのインタビューやオリジナル曲のクリエイターとして手書きのクレジットを引用、また訴状には、インタースコープや親会社ユニバーサル・ミュージック・グループ、プロデューサーのトニー・D・ピサロが、トーマスが共同制作者として印税を得るのを阻止するために「共謀」したとする内容が書かれている。
同曲は、米国議会図書館に登録されたわずか3曲のヒップホップ・トラックのひとつであり、「殺害されたラッパー自身の母親と、依存症、貧困、社会の無関心に直面しながら家族を維持しようと奮闘するすべての母親への感動的で雄弁なオマージュ」と評されている。
訴訟では、今年初めに公開され、2パックと母親のアフェニ・シャクールの関係に焦点を当てた5部構成のドキュメンタリーシリーズ「ディア・ママ」に関して、ワーナー・ブラザース、フォックス、Hulu、ディズニー、NBCも対象となっており、トーマスはプロデューサー、共同制作者、共同出版者としての「適切なクレジット」と「楽曲への貢献に対する報酬」を求めている。