人生相談編(上)肉体とは期限付きのアパート
(Q)いじめの問題で自殺する小中学生のニュースを耳にする度に、我が子のことが気になります。親として、どんな思いを子供に伝えていくべきでしょうか(40代女性)
(A)私が一番気になっていること、それは尊い命を自ら絶つ子供や若者が多いことです。いじめられて命を絶つ。たった一言の言葉で命を絶つ。これから日本を背負っていくべき子供たちは少子化社会の中で重要な存在であり、宝です。子供たちが自ら命を絶つということは、教育の問題だと思いますし、「ちょっと待てよ、ちょっと考えろよ」と言いたくなります。
何が問題なのかと言うと、自分の存在価値や意義、目的、動機について自己を見つめてみることを教育の中で怠っているのではないかということです。自分がどれだけ貴重な存在であるかをもう一度見つめ直してもらいたい。先祖があって自分がいる、自分は先祖の思いを託された奇跡の存在であるという意識を持つこと。そして、この血を次なる子孫へとつなげていく使命と責任があるんだと。
家庭教育にも問題がある。親の使命は、何のために生きるのかという意義を一番最初に伝えることにありますが、その機会が少なくなっています。せっかく、この地上に生を受けたのだから、命というものを真剣に見つめてもらいたいです。
人生にリハーサルはない。死んだらそれで終わりですからね。心臓が止まったらすべてはなくなる。金を失うことは小さいが、生きる勇気を失うことは全てを失うことである。地球の70億分の1、日本の1億分の1として、この世に生をいただいたんだ、生きているのではなく生かされているんだという天命を知って欲しいです。
人間はどんなに長く生きても100年そこそこで、この地上の旅を終えるんです。肉体という“期限付きのアパート”を借りているに過ぎないんですよ。
「井の中の蛙(かわず)、大海を知らず」という言葉があるけれど、大海を知らなくてもいいんです。生きること、それ自体が天の深さを知ること、人間の本質の深さを知るということであり、それを思ったら「自分はダメだ」とか小さいことでガタガタすることはない。そう考えたら、子供たちにも見えてくるものがあるんじゃないかと思いますね。