人生相談編(中)トンボに学ぶ生き様~金より大事なこと
(Q)人に金を貸して逃げられ、約1000万円が戻りません。諸々の支払いで、日々の生活は苦しいですが、借金を返して人間として生きたいので、アドバイスをお願いします。(60代男性)
(A)法律的なことは専門分野の方にお任せいただくとして、ここでは逆境におられる方への私なりの考えを語るという趣旨でお答えします。ご参考になれば幸いです。
大なり小なり、生きていく中で人に裏切られ、だまされるといった試練はあるわけで、それが全くない人はいないと思います。人生は学びの旅。どんな苦難が降りかかってきても、それを次に立ち向かう教訓とする、プラス思考が大事です。
金を失うことは小さいことですが、生きる勇気を失うことは全てを失うことです。どんなに金があっても、あの世には持って行けません。この世で大切なのは金ではなく、「生き様」。自分の人生に責任を持って、全力で生き抜くことです。
私はトンボとか馬とかバイクが大好きです。なぜなら、トンボや馬や二輪はバックできないから。前に進むしかない。後退すなわち“死”ですからね。退路を断って前に突き進む生き方。どんな試練に直面しても、仮面ライダーのごとく、その時々に変身し、いい方向にチャレンジする。「変身」とは自分の心を切り替えること。それによって自身も回りも変わってきます。
宮本武蔵の五輪書には「拍子に乗る」という表現が出てきます。“拍子”とは、物事の勢いやリズム、流れといった意味ですが、その勢いを見極めるためには人生での鍛錬が不可欠です。苦難に遭っても自ら動いて天命に生き、宿命に感謝しながら試練に立ち向かう。その心構えで今後の人生を歩んで行かれるならば、年齢は関係ない。その意識がある限り、人は心臓が止まるまで青春なのです。
何もしないで順風満帆なんて人はいない。どんな人であろうと艱難(かんなん)辛苦は当たり前。人生は己の生き様が試されるゲームだと思って苦を楽しむこと。苦難を超えたところに達成感と感動がある。そうすると、また未来が見えてくる。自分の心の持ち方が人生を決するんじゃないかと思いますね。