「珈琲道編(上)」マラウイやペルーでガツンときたコーヒー豆

 私の「珈琲道」を2回に渡ってお届けします。今回は「世界のコーヒーとの出会い」を語りましょう。

 約100カ国を旅した中で、コーヒーを出されることが多かった。ある一族の村では貴重な薬でもあり、戦いの時には何も食べずに、コーヒーを飲んで一族を守った。難民キャンプでは不眠不休で警備に当たる兵士が一杯のコーヒーで正気を保つ…。サバイバルな状況下にあって意識を覚醒し、薫りでリラックスさせる効果があるわけです。戦闘時だけでなく、一方では癒やし、安らぎの飲み物であり、旅人をもてなすコミュニケーション・ツールでもあります。

 そうやって世界各地の村でコーヒーを飲み、現地で採れた生豆(きまめ)を持ち帰りました。日本の水で洗って干して炭で焼いて粉砕し、その水でたてたらおいしくて感動しましてね。知人やお客さんにも出して感動していただき、皆さんに飲んでもらいたいと思うようになりました。

 発展途上国の貧しい地域ではコーヒーが経済の源となっている村もあるんですよ。一番最初に手掛けたのはアフリカのマラウイの豆。世界最貧国の一つであり、平均寿命が地球上でも最低レベル(※その当時40代)で、子供が5人生まれて成人になるのが1人か2人なので、医療や衛生管理がなかったのです。それで経済的に支援させていただきたいと思い、豆を買ってお手伝いし、できたのが「藤岡、珈琲」でした。

 続いてペルーの豆。6000メートル級のアンデス山脈中腹の貧しい村で、豆を洗う機械が高価で買えないため、手で取って水でふやかすという、原始的な作業で採れた豆がおいしいのです。インカ帝国の末裔(まつえい)が有機栽培で育てた豆はガツンとくる味と共に深いコクがあり、衝撃的なうまさでした。現在の「藤岡、珈琲」はこのペルーの豆です。

 マラウイやペルーで本物の野生味あふれる豆に出会い、現地での悲しみや苦しみ、痛みを伴う感動をコーヒーによって還元するお手伝いをさせていただいています。私の本業は俳優ですから、これで飯を食おうなんてことは一切、思っていません。今後もこの活動をできる限り続けていきたいと思っています。

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