今年１月から始まった連載も最終回を迎えました。愛媛での生い立ちから下積みの俳優時代、仮面ライダーから国内外の主演映画、コーヒーや難民キャンプといった海外での体験などをつづり、人生相談までさせていただきました。中身の濃い半年でした。

　俳優としての原点となった仮面ライダー。昨年の４５周年で主演させていただいた劇場公開映画「仮面ライダー１号」（東映）はオリコンの映画部門で１位になりました。１９６４年の東京五輪から日本が経済大国への道をばく進した機運が、７１年にテレビ放送された初代仮面ライダーにも連動していたのだと感じていたのですが、新作映画は２０２０年の東京五輪に向け、私の中で一区切りを付ける作品となりました。

　そして今、国際的なチャレンジ欲が出てきています。現役としてもう一度、自分の闘いができる自信があるのです。日本という国も同様に、２０年はチャンスの年。目覚めの年となるでしょう。

　世界約１００カ国で多くの民族に触れてきた経験から感じることは、日本はもう一度、世界から見直されるだろうということです。アインシュタイン博士は長い歴史を秘めた“日の本（もと）の国”が世界から感謝される日が来るだろうという趣旨の言葉を残されました。闇が深まると「日」が求められる。世界が激震して怒とうの時代に入っていく大きなうねりの中、日本の発展が始まるのではないかと思っています。

　私は世界中のいろいろな国々で真剣斬りをお見せしましたが、どの国においても嵐のような拍手がやみませんでした。黒澤明先生が映画を通じて世界に影響を与え、今もそれは残っていますが、今後も新たに発信する若者が出てきて欲しいと願いながら、私なりに真剣を手に世界を回ってきました。

　この心臓が止まるまで、己磨きの旅は続きます。自らをむち打って奮い立たせながら、まだまだ未熟な自分を思い知らされている日々です。連載は今回で終わりますが、まだ旅の途中。今後も私なりにあらゆる世界でメッセージを発していきたいと思っております。ご愛読ありがとうございました。（おわり）