【大場久美子 16】演じました濃厚なベッドシーン
アイドル歌手を卒業して役者一本に戻ったとき、ちょうど2時間ドラマ、サスペンス劇場がブームだった。アイドルを卒業したばかりということもありドラマの仕事は順調に次から次へと舞い込んできた。
私がやりたかった役は三枚目だが、頂く役はキリッとした二枚目。そして犯人役が多かった。「清純派元アイドルがドラマの中で悪さをするはずがない」とサスペンスのトリックを見破られない為か…(笑)。
犯人役といえば、ラストシーンの岸壁でストーリーをベラベラ長々しゃべり海へ飛び込む。水戸黄門さまの印籠のようにドラマの中で犯人が白状する時間が決まっていたのだろうか…(笑)。
そして犯人に欠かせないのが、ベッドシーンというやつだ。役作りの中に役者の人生経験やスパイスを盛り込むのだけれど、私は昔から男性アレルギーな所がありまして…。頑固一徹な父のイメージのトラウマなのか(笑)。
さて台本はあるが、細かい仕草までは教えてもらえない。ある程度、動きやシチュエーションを自分で考えていかなくてはいけない。濃厚なベッドシーンは見当もつかなかった(これホント)。
どうしたかというと、まず本屋へ行き探しましたよ参考書。体位の(笑)。それからビデオ制作スタッフに知人がいたので「サスペンスでベッドシーンがある役もらったんだけど、芝居に役立つビデオあります?」と聞くと送ってくれましたよ。私は何気なく気軽に聞いたつもりが、まさか、レンタルショップで恥ずかしくて借りられないコーナーにあるビデオと同じようなビデオが届くとは…。しっかり勉強させてもらいましたけどね。
30歳後半にもなるとそんな役も回ってこなくなったのですが…。ドラマ制作の知人に「仕事の勉強のためだった」と何度説明しても「好きなんでしょうそういうビデオ!」と送ってきていました。
何事にも一生懸命で無我夢中だったあの頃を忘れてはいけませんね。初心忘れべからず。生涯現役でこれからも新しいことに挑戦しつづけます。