【上田まりえ 62】ちょっと寂しい!?10年付き合った親知らずとの別れ
私と親知らずの付き合いは、10年ほどになります。下の右左からぴょこっと顔を出してきた白い歯に、最初は可愛さすら覚えていました。「私も大人になったんだなぁ…」なんてウキウキしていたのはわずかな間。ある日を境に、憎っくき存在へと変貌を遂げたのです。
会社に入ったばかりの頃、日々の緊張から体調を崩しました。いつも疲労がピークを越えるとポーンと高熱が出るのですが、加えて、それまでの人生で感じたことのない痛みが口内を襲ったのです。左の奥歯の周りが熱を感じるほど腫れ、そこから溢(あふ)れ出る膿(うみ)…。もともと顎関節症で口が開きにくいうえに、頬の筋肉が強張ってさらに開かない…。動かすたびに、まるで口の中に大きなアザがあるのではないかと思うほどの激痛が走ります。当時新人アナウンサーだった私はただでさえ原稿読みが拙く、腫れと痛みによってさらなる苦戦を強いられました。
すぐに歯医者へ行き、相談しました。「真っ直ぐ生えているので抜く必要はないですよ」と先生。痛み止めと炎症を抑える薬をもらって、診察は終了。一生の付き合いになるのかと覚悟を決めました。
が!!風向きが変わったのが今年の夏。マウスピースによる歯列矯正を始めて半年が経過し、歯が奇麗に並び始めたときのことでした。先生から「う~ん、抜いた方がいいわね~!」と、まさかの一言が。どうやら彼らはいまだに生え続けているらしく、このままだと歯が押されて再びズレが生じてしまい、せっかくの矯正がパァになってしまうとのこと。すぐにでも抜いた方がいいと言われたのですが、テレビの生放送が週6日あったため断念しました。
11月からは週4日になったので、「3連休を取って抜くぞ!」と意気込んだものの、ありがたいことに仕事が入ったり、大事な予定が入ったり…。そうこうしているうちに、現在、再びパンパンに腫れています。彼らからの「別れたくない」というメッセージなのでしょうか。
ようやく21日に抜歯の予約を入れることができました。一緒に過ごすのもあと2週間。なんだかんだ体調管理のバロメーターになっていた彼らに、感謝の気持ちを込めて…。あれ、なんかちょっと寂しいぞ!?