【大橋未歩アナ】選手のリアルは時に他人の人生を変える

 「大橋未歩のたまたまオリパラ!」

 あなたの人生が少し変わった瞬間っていつでしたか?私は社会人3年目、ヒラの駆け出し社員にもかかわらず上司に直談判した日から。アテネ五輪を取材し帰国した何と翌日。上司の元に押しかけ「4年間がむしゃらに選手取材をしますから次の北京五輪も行かせてください!」。そこからアナウンサー人生が開けていきました。どこからこんな図々しい勇気が湧いてきたんだか。理由は、元競泳日本代表北島康介選手の金メダルを見たから。

 北島選手が水面を叩きながら歓喜の雄叫びを上げた姿に万来の拍手が送られました。普段は様々な利益が相反している国と地域の人々が、言語も人種も瞬間的に飛び越えて子供のように喜んだり悔しがったりする様に驚いたのです。

 先日、東京2020で競泳などの会場となる「東京アクアティクスセンター」(江東区)を取材してきました。辰巳駅から15分ほど歩くと、竹林をイメージしたという斜め柱が見えてきます。足を踏み入れると、折り紙をイメージした立体的な白天井の品の良さが目を引きます。

 7000トンの天井は工費削減や期間短縮や安全性の観点からまず地面で組み立てられ、釣り上げて載せるというリフトアップ工法を採用。さらに背泳ぎの選手が眩しくないように、プールの真上には照明がありません。ちなみに、膨大な水は地熱エネルギーで温めるとのこと。

 全1万5000席のうち車椅子席は約150席。車椅子の方へのヒアリングを基に具体的な観戦シチュエーションを反映させ、車椅子が横に並んで観戦できるような作りになっています。そして、競泳のゴール地点がちょうど会場の中央に来るように設計されていて、選手の顔を巨大スクリーンに映し出すべくカメラが設置されているそう。

 来年開催するのか、はたまたこの会場に観客を入れるのか、人類は模索していくしかありません。ただ、1つ思うこと。競技を終えた瞬間の選手の顔のリアルさは至極のエンターテインメント。それは時に他人の人生を変えてしまう力があると。

 ◆大橋未歩(おおはし・みほ)1978年8月15日、神戸市出身。フリーアナウンサー。2002年入社のテレビ東京時代にアテネ、北京、ロンドン五輪を取材。18年にパラ卓球アンバサダー就任。19年から「東京2020パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けた懇談会」メンバー、パラ応援大使でも活躍。

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