２０２０年の東京五輪。準備は着々と進んでいますね。僕は、メーン会場である新国立競技場の近くに長年住んでいるので、神宮外苑は散歩コースなのです。

　思えば１９６４年の東京五輪前まで、神宮外苑の周辺はまだ畑だったのです。それが立派な施設が建ち、今はまた、新しい競技場も建設されて。長年、散歩しながら変わりゆく日本、成長する日本を感じてきました。

　東京五輪まで４年を切った今、前回の時に「東京五輪音頭」を歌った縁で、いろいろお話を聞かれることが多いです。

　「開会式で歌いたいですか？」

　そんな質問も受けます。もちろん、そんな大舞台のお話がいただければ、うれしいですよ。ですが、前回の五輪を機に日本が成長したように、今回もさらに日本がすばらしい国になるには、これから支えていく若い人の力が大切です。ですから、ここは若い人たちの出番。「若い人たちの出番を奪うことはしたくない」と答えています。

　もちろん、お力になれることは何でもしますよ。自分が出ていくより、陰ながら貢献できることをしたいですね。日本の文化、伝統。古き良き昭和ロマンを伝えること。開幕までの４年間で、後世に残して行く活動などをしていきたい。

　実は２０２０年は、自分にとってもデビュー６０周年の記念の年にあたります。この年を集大成にしたいという思いもあります。

　ただ、歌うことのプロである以上、しっかりした歌をお届けしなければいけない。体は鍛えているので、体力は持つでしょう。でも、スカッとした声が、いつまで出るか。それが４年後まで可能なのか。さらにその先まで可能なのか。

　それが、これからの戦いです。ダメになったら姿を消します。やはり橋幸夫は、いい形の橋幸夫で終わるのがいいと思っている。キレイな形で。もちろん日々、最高のものをお届けしようと、まだまだ頑張っていきます。