歯がゆかったアイドルのオキマリ
私には芸能界のデビューが2回ある。
1回目のデビューは4歳で子役として。2回目は14歳でのアイドルデビューだ。
「ほほえみ」を唄っていたときには、既に10年の芸歴があった。
あれ?この子「変身忍者嵐」のカスミじゃないの?くノ一からアイドルへの転身に、きっとブラウン管の向こうで驚いた人もいたと思う。
当時のアイドルは何かインタビューされたら「わかりません!マネジャーさんに聞いてください」と恥じらいながらニッコリとお茶を濁すのがオキマリ。芸歴10年の私は、それが歯がゆくて仕方がなかった。
アイドルって、なぜ素直に自分の意見を言ってはいけないのかしら。どんなときも笑顔でブリッ子してる。そんなことを思いつつ、私も家に帰れば、鏡に向かってアイドルスマイルを一生懸命練習していた。
ちょっと前までは、テレビで見ていた売れっ子アイドルと同じ番組やステージで仕事をすることになった私。夢のようなアイドル生活が与えられたのだから、私だって、とびきりの笑顔をしなくちゃ!
中三トリオはもちろん、アグネス・チャンさんや岡田奈々ちゃんを生で見たときは、うわぁ、なんてかわいいのかしら!みんなキラキラしてる。70年代アイドル黄金時代、次から次へと目を見張るようなかわいい女の子が飛び出して来る。
「林寛子さんのライバルは誰ですか?」ある雑誌のインタビューで聞かれたとき、即座に「ライバルは私です!私は私を乗り越えます!」当然聞き手はライバルとなるアイドルの名前を期待していたはず。誰かの名前を言えば、その子より私は上には行けないと思った。
14歳林寛子のライバルは林寛子だなんて、やっぱり子役の芸歴がそれを言わせてしまったのかもしれない。
★昭和歌謡コメディ~築地 ソバ屋 笑福寺~ http://www.and-t.co.jp/butai/