アイドルは楽じゃない!!寝る間もない
デビューしたばかりの頃は、来る日も来る日もキャンペーンで、週末はデパートの屋上でレコード即売とサイン会。
初めて三越デパートの屋上の仮設ステージで、「林寛子デビュー発表ミニコンサート」が行われた時の事。
客席を見ると、5名ほどのおじさんとおばさんがポツンと座っていて、どう見ても私のファンではなさそうだった。春の暖かな日差しの中で、ひなたぼっこでもしている感じ。 心の中では、さぞかし人が集まっているのかと、不安ながらも、ワクワク、ドキドキが交差する出番前。その光景に笑顔がひきつった!
それでもここは、子役時代に培った持ち前の根性発揮、満面のアイドルスマイルでデビュー曲「ほほえみ」を披露した。すると、1人2人と集まって来て、いつの間にか即売会にも長い列ができた。
それから半年もたたない内に、ミニコンサートは警備員が出るほどの賑(にぎ)わいとなっていた。
人気を実感したのもこの頃だ。町を歩いていても「ほらあの子、林寛子よ」。名前を覚えてもらうとはうれしいものだ。
事務所にもファンレターが山のように届くようになり、スケジュールもどんどん入ってきた。
各地方のラジオ局からもお呼びがかかり、キャンペーンで全国を回った。歌のお仕事以外にも、コマーシャルやグラビア撮影で海外ロケがあり、世界をあちこち飛び回る事もあった。雑誌の取材も毎日のようにあり、インタビューで「今一番欲しいものは?」と聞かれたら「寝る時間」と即答するほど。
テレビでアイドルを見ていた頃は憧れだったけれど、いざ自分がなってみると、結構つらい!
教訓、アイドルは楽じゃない!!