でんぐり返し アイドルって肉体労働
ハイ、ポーズ!私の苦手なショートパンツとTシャツを着せられて、運動マットの上で、でんぐり返し。
ニコニコしながら、元気良くキャンディーズさん達が画面に向かってポーズを取っている。それに続けとはがりに、私も笑顔をひきつらせながら、でんぐり返し。
またしても、「アイドルって、肉体労働だわ!」と心の中で叫ぶ私。
「8時だョ!全員集合」は生放送で、視聴率もダントツの大人気番組だ。フジテレビ出身の私が、TBSの花形番組に呼んでもらえることは、かなりの知名度を持つアイドルとして、成長した証し。事務所も「こんなありがたいことはない!コントも勉強してきなさい!」と私を激励。
アイドルとして生きて行くためには、運動神経はもちろん、どんな要求にも、応えられるメゲナイ根性が必要だと言うことだ。
端から見れば、アイドルは、カワイコチャンなら、人気が出ると思われがちだが、私ももちろん、当時のアイドルはみんな努力していた。
水泳大会では、不本意ながらの水着で唄ったり、アイドル大運動会では、必死に走って、転んでも笑顔でいた。
物まね番組の依頼があれば、ひたすらアグネス・チャンさんや中3トリオのレコードをカセットに録音して、楽屋や車の移動中に何回も聴いて、どうやったら似せられるのか、学校の宿題よりも頑張っていた(笑)。
もともと器用な方ではあったが、1日は24時間しかない。限られた時間の中で、ただただ、一生懸命全てに全力投球するしかなかった。
同期でデビューしたアイドルが知らぬまに消えて行く中…。
スケジュール帳が真っ黒になることが、今思えばその努力が実った証しなのか?
お休みが欲しいなんて、ぜいたくな言葉は口に出せなかった。