アイドルだって勉強!赤木春恵さんに感謝
中学3年生の3学期、私は校長室に呼ばれた。
「君は、高校は堀越学園に行きなさい。うちは、芸能活動禁止だから」
なんとも冷たい校長先生からの言葉。中高一貫の女子校に通っていたのに、まさかの宣告を受け、私は堀越学園を受験することに。試験日には、すでに仕事を一緒にしているアイドルが何人もいた。
学業と仕事の両立は、アイドルにとって1番の難題。スケジュールが過密になると、学校へはなかなか行けなくなる。そこを全面的にサポートしてくれたのが、堀越学園Dコース(芸能活動コース)。
朝、数時間、授業を受けて、仕事をしてから戻ってきても、また授業を受けることができたり、放課後に登校しても、先生が個人的に指導してくださった。「堀越学園は、勉強しなくても、芸能人なら卒業できるのでしょう?」そんなことを言われる度に、アイドルはそんな目で見られているのかとがっかり。
ある日、楽屋でリポート提出のため、一生懸命勉強していると、女優の赤木春恵さんが「あら、寛子ちゃん偉いわね!熱心ね」と声をかけてくださった。私はとてもうれしかった。
翌日、登校すると、担任から「校長室に行きなさい」と言われ、何事かとドキドキしていると、校長先生が「昨日は、楽屋で勉強していたそうだね。赤木春恵さんから、感心だとご報告を受けましたよ。その努力は大切だから、これからも続けて頑張りなさい」と。
校長先生と赤木春恵さんは大の親友だったのだ。「どこで誰が見ているかもしれない。どんな時も最善をつくしなさい」母もよくそんなことを言っていた。
堀越学園は、朝は一礼して入門。下校の時も校舎に一礼して帰る。今も学園を訪ねると、一礼をしてしまう。とうに生徒ではないのに、一礼をするとアイドル時代の思い出が込み上げてくるから不思議だ。