オリジナルアイドルレシピ
アイドルレシピ。アイドルの作り方など、どこにも存在しない。 「君スタ(君こそスターだ!)」に合格して、今日からアイドルですよ!と言われても、アイドルの定義さえもわからないまま、ステージの中央に放りだされた、14歳の私。
当時、特別のオーラを放っていた、ピカピカのアイドルは、アグネス・チャンさん!
ブラウン管の向こうで見ていた人なのに、いつの間にか、同じステージに立っていることが、うれしかった。でも、心の中では、彼女を目標に、追いつけ追い越せ…そんな感情が湧いてきた。
だからと言って、芸能界には、指定席しかない!
真似(まね)をしても仕方ない。オリジナルアイドルレシピで、「林寛子の世界」を確立させなければ!
アイドルは、イコール「ブリッ子」してる、とよく言われた。アイドルには、適度なブリブリ感も必要で、要求もされた。
つぶらな瞳、肩をすくめて、満面の笑顔。長い髪を揺らしながら、少し高めのトーンでお話をして「頑張ります!応援してくださいね!」
自分でも、無意識の内に、それらの所作が身に付いていた。
今一番欲しいものは、何ですか?
「お休みですね」この一言が言えたら、売れっ子の証し。
アイドルのスケジュールは、手帳が真っ黒になるほど、過密で寝る時間もない。食事も、移動の車の中でとった。その移動中でさえも、取材の記者が同行するくらい。
今一番欲しいものは何ですか?
本音を言えたなら、「一人にしてほしい!」と叫びたかった。