坂東三津五郎 すい臓腫瘍で舞台初降板 定期健康診断で
歌舞伎俳優の坂東三津五郎(57)が、7月に受けた定期健康診断ですい臓に腫瘍が見つかったことを26日、自身の公式ホームページで発表した。出演予定だった「九月大歌舞伎」(9月1~25日、東京・新橋演舞場)と「歌舞伎座特別舞踊会」(9月27日、東京・歌舞伎座)は降板し、治療に専念する。50年を超える役者人生で初めての降板に、三津五郎は「お客さまには大変ご迷惑をお掛けすることとなりました」と悔しさをにじませた。
1962年に初舞台を踏んでから51年、「無事これ名馬」とばかりに休まず舞台を務めてきた三津五郎が「この病気のさらなる検査、完治に向けての治療のため三津五郎にお時間を頂戴(ちょうだい)したく存じます」と、初めて無念の降板を決意した。現在は入院しておらず、詳しい検査結果を待って治療方針を決めるという。
休み知らずの“鉄人”だけに、ショックは隠しきれない。「この50年病気・けがでの入院もなく休まず舞台に打ちこめたのは丈夫な体のおかげだと思っておりました」と、驚きをにじませる。9月公演のチケットは発売されており「お客さまには大変ご迷惑をお掛けすることとなりましたことを深くおわび申し上げます」と謝罪した。
これまで他の役者の代役を務めたことはあっても、代役を頼むのは初めて。「九月大歌舞伎」の昼の部「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿」では徳川綱豊卿を中村橋之助(47)、富森助右衛門を中村翫雀(54)が演じる。夜の部「不知火検校」の寺社奉行石坂喜内は市川左團次(72)、「馬盗人」のならず者悪太は翫雀、百姓六兵衛は橋之助が演じる。
11月には尾上菊之助(36)らと共演する「松竹大歌舞伎」(1~25日、東京・日本青年館など)に出演予定だが、全国18都市を巡る公演だけに、出演は治療経過を見ながら慎重に判断することになる。
三津五郎は今月24日まで歌舞伎座の「納涼歌舞伎」に出演していた。昨年12月に亡くなった親友の歌舞伎俳優・中村勘三郎さんと立ち上げた思い入れのある公演を最後まで務め上げてから、病気と闘う態勢に入った。