三津五郎 すい臓がん手術受けていた

 7月にすい臓に腫瘍が見つかり、入院治療のため9月から舞台を降板していた歌舞伎俳優・坂東三津五郎(57)が2日、都内で会見を開き、9月にすい臓がんを切除する手術を受けたことを明らかにした。この日午前に退院したばかりの三津五郎は当面、療養に専念し、出演予定だった11、12月の舞台は休演する。復帰の時期は未定だが、「次に向かって最善を尽くすことが大事」と前向きに語った。

 三津五郎は大病後とは思えない軽快な足取りで会見に登場。午前中に退院したばかりだったが、「術後の経過も良好で、体調もまったく悪くない」と笑顔で報告した。

 これまで病名は「すい腫瘍」としていたが、この日「すい臓がん」と発表。「祖母をすい臓がんで亡くして以来、憎い病名だったので言われてびっくりしました」と宣告された時の心境を告白した。昨年の中村勘三郎さん、今年の市川団十郎さんら歌舞伎界に不幸が続く中で、運命を恨んだこともあったが「『しばらくゆっくりしろ』という天の啓示かな」と気持ちを切り替えた。

 定期健康診断ですい臓に腫瘍が見つかったのは今年7月。8月の「納涼歌舞伎」は出演したが、9月の「九月大歌舞伎」と「歌舞伎座特別舞踊会」は降板し、入院。同月3日に「すい臓すい体尾部腫瘍」を切除した。約3時間半の手術ですい臓の約半分と脾臓(ひぞう)を摘出。「残念ながら悪性の腫瘍でした」と神妙な表情で報告した。

 1962年の初舞台以降、けがや病気もなく、降板は初体験だった。毎日のように見舞いに来てくれた2人の妹や、娘で女優の守田菜生(29)に「家族のきずなを感じました」と感謝した。長男の坂東巳之助(24)が「(9月の)舞台が無事に終わりました。お客さまが喜んでくださいました」と報告したことが最高にうれしかったという。

 今後は自宅で投薬治療を続ける。11月の地方公演「松竹大歌舞伎」、12月の歌舞伎座での「十二月大歌舞伎」の降板も決定したが、「次に向かって最善を尽くすことが大事」と早期復帰へ前向き。さらに「先輩から預かった芸の荷物を次の世代に渡さないと」と指導にも意欲を燃やしていた。

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