辛坊氏、救助費用負担は「失礼な発想」
6月21日にヨットで太平洋横断中に遭難事故で救助されたニュースキャスターの辛坊治郎氏(57)が3日、読売テレビ制作の日本テレビ系報道番組「ウェークアップ!ぷらす」(土曜、前8・00)に事故後、初めて生出演し、「新しい命をいただいた。大切に使っていきたい」と神妙な顔で話した。番組終了後の会見では、この復帰時期については「テレビをご覧の皆さんにご判断いただく」と話すにとどめた。10日放送分から司会に復帰する。
番組終了後、大阪市の読売テレビで会見した辛坊氏は、事故から約1カ月半での復帰について、「躊躇(ちゅうちょ)しました」としながらも、一部で時期尚早との声が出ていることに「早いも遅いもない。皆さんに喜んで頂けるだけの仕事ができるか。判断するのは視聴者」と話した。
休養中、救助してもらった海上自衛隊岩国第71航空隊などに感謝の気持ちを伝えに行ったという。その際、海難救助活動をボランティアで行う団体「日本水難救済会」の存在を知り、寄付したことを明かした。関係者によると500万円を寄付したという。
ただ、救助にあたって多額の税金が使われたことで一部で批判の声が上がっていることには、番組内で「救出にかかったお金を払えというのは、命をかけて救ってくれた人をお金に換算する、大変失礼な発想。しっかりと納税していくことと考えている」と反論した。
淡々と会見に応じた辛坊氏だったが、荒波で救命いかだを流しそうになった事故当時を振り返った際は声を震わせ、涙を何度も両手でぬぐった。
この日の番組では、事故時の映像を検証し、専門家らが事故原因を「マッコウクジラとの衝突」と指摘した。
辛坊氏は、10日放送の回から司会に復帰する。今後について「助けていただいて新しい命を頂いた。どのように恩返ししていくか。大切に使っていきたい」と語った。