ASKA被告、栩内被告への未練残す
覚せい剤取締法違反と麻薬取締法違反の罪に問われた人気デュオ「CHAGE and ASKA」のASKA(本名・宮崎重明)被告(56)の初公判が28日、東京地裁で行われ、検察側は懲役3年を求刑した。ASKA被告は起訴内容を全面的に認め、薬物を断ち切ることを誓ったが、共に逮捕された愛人の栩内(とちない)香澄美被告(37)への未練を断ち切れないところも見せた。一般傍聴席を求めて行列を作ったのは2646人で、倍率は126倍。即日結審し、判決は9月12日に言い渡される。
紺のスーツに黒のネクタイ、黒縁メガネのASKA被告は、法廷に足を踏み入れると神妙に一礼し、裁判官から名前と職業を聞かれると「宮崎重明です。歌手です」と小声で答えた。
2010年夏頃から覚せい剤を使用し、今年3月にはMDMA100錠を購入したことなど起訴内容を認め「処方された薬が効かなくなり眠気を覚ますために使いだした。興味もあった」と動機を説明。「我慢できなかった。恐ろしい薬」と覚せい剤の魔力を語り、7月の保釈後は入院して一度も外出していないと話した。
情状証人として出廷予定だった洋子夫人は体調不良で欠席。弁護人が代読した供述書では「夫は入院して自分を取り戻すと約束してくれた。健康だった頃に戻ることを信じて支えていきたい」と誓った。
薬物からの脱却に協力するという妻の申し出を受けたASKA被告だが、あろうことか愛人への断ち切れない思いを吐露した。
検察側から栩内被告への思いを聞かれると「大事な存在。好きということか?はい」と明言。交際期間を6年と明かし、今後の関係についても「その前に話さなきゃいけないことがある。まだ決められない」と、未練を隠さなかった。
栩内被告の7月22日の初公判での主張と合わせるように、一緒に薬物を使用したことは「ありません」と、声を荒らげて否定。今年4月に栩内被告から送られた「私にしたの気づいていたよ。あれから眠れなかった」「あんなひどいことするなんて」という、薬物使用を示唆する生々しいメールも公開されたが、一貫して認めずかばい続けた。一方で、一部で報じられた第2の愛人の存在を語ることはなかった。
「常習性もあり再犯の可能性も高い」と懲役3年を求刑した検察側に対し、弁護側は「アーティスト活動の再開はありえない。社会的な制裁を受けている」と執行猶予を求めた。ASKA被告も「私は自分自身と向き合うことができなかった」と自身を断罪したが、栩内被告との関係だけは清算できないようだ。