今年に入って満員御礼が続くなど人気復活が顕著な大相撲界に衝撃が走った。警視庁捜査１課は２日、７月に名古屋市内のマンション一室などで知人の男性（３１）＝東京都墨田区＝に金属バットで数十回殴るなど暴行し、約２週間のけがをさせた傷害の疑いで、宮城野部屋（墨田区）に所属する熊ケ谷親方（元十両金親）の山村和行容疑者（４５）を逮捕した。捜査１課によると、本人は容疑を認めている。

　山村容疑者は７月２３～２７日、名古屋市内のマンション一室などで知人の男性（３１）の腰などを金属バットで数十回殴り、約２週間のけがをさせた疑い。「間違いなく私がしてしまったことです」と容疑を認めている。

　男性は宮城野部屋には所属しておらず、山村容疑者が個人的に車での送迎やスケジュール管理を担当させていた。８月上旬に男性が警視庁に相談して発覚。捜査１課は日常的に暴力を振るっていた可能性があるとみて詳しく調べている。

　逮捕の一報を受けた日本相撲協会は午後３時ごろ、「本日、年寄熊ケ谷（本名・山村和行）が傷害容疑で逮捕されたという報告を受けました。今後は警察の捜査状況を確認し、危機管理委員会にて対応します」というコメントを発表した。

　北の湖理事長（元横綱）は午後４時過ぎに両国国技館を出る際に「残念だ。今のところは状況をはっきり把握しているわけじゃないので」と語り、今後の処分については「みんなの意見があるから」と明言を避けた。

　日本相撲協会は昨年１月に公益財団法人として認可され、コンプライアンス強化に努めてきただけに、今回の不祥事はショックが大きい。しかも第一人者の横綱白鵬が所属する宮城野部屋での暴行事件とあって、復活した大相撲人気に水を差しかねない。

　熊ケ谷親方は現役引退した０４年８月に宮城野部屋を継承。しかし、八百長の存在を知人の女性に告白したなどと週刊誌に報じられ、１０年１２月に相撲協会から師匠交代を勧告された。現宮城野親方（元幕内竹葉山）と年寄名跡を交換して部屋付き親方となったが、この問題で協会に始末書を提出。再度不祥事を起こした場合は解雇処分も受ける覚悟を示しており、今回の逮捕で厳しい処分が予想される。