原駅ステージA&ふわふわ 同時デビュー
原宿を拠点にした新たなガールズグループ2組が誕生した。「Rockstar」を歌う7人組「原駅ステージA(エース)」と、「フワフワSugar Love」を歌う18人組「ふわふわ」が1枚のCDで13日に“同時デビュー”する。東京・原宿の竹下通り入り口に昨年8月オープンした常設劇場「原宿駅前ステージ」で毎週末や祝祭日に公演を行ってきた2組。強烈なライバル心を瞳に宿して、若者文化発信の聖地からアイドル戦国時代の本命が飛躍する。
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ホコ天、竹の子族、ラフォーレ、ウラハラ…原宿は半世紀にわたり、最先端の文化を生み出してきた。
そして、2015年。荻野目洋子やMAX、SPEED、西内まりやらを輩出した大手芸能事務所ライジングプロが、新たなガールズ文化の発信拠点としてライブステージ「原宿駅前ステージ」を8月にオープンさせた。
毎週末や祝祭日に4グループによる集団「原宿駅前パーティーズ」がライブパフォーマンスを披露している。当初は定員100人の客席が埋まらない日もあったが、みるみる話題を集め、現在はチケットに30、40倍の応募が殺到する人気に。第1弾として2グループが、満を持してメジャーデビューすることが決まった。
7カ月間、切磋琢磨(せっさたくま)してきたAとふわふわ。強烈なライバル心を隠さない。平均年齢16・3歳のAは本格的なダンスとボーカルが武器。SPEEDやフェアリーズといった事務所の先輩の“イズム”を継承する。
伊藤貴璃(15)は「レッスン期間が他のチームより長いので、歌やダンスを習ってきた積み重ねがある。表現力や激しさといったダンススキルは負けない」と胸を張る。デビュー曲もダンスビートの効いたロックだ。
一方のふわふわは平均年齢14・3歳。グループ名もさることながら、フリフリの衣装でラブリーな楽曲を歌う正統派アイドルグループだ。今年1月に加入したばかりのメンバーもいる。最年少12歳の岩崎春果は「若さとフレッシュさは負けない。全体的にかわいらしくて元気で、いつでも笑顔」と声を弾ませた。
デビュー時期もお互い気にし合っていたが、最終的に1枚のCDに2組の楽曲が収録される異例の“同時デビュー”となった。Aの牧野真鈴(17)は「一番最初にデビューしたかった。パーティーズに新しい子が入ってきて、年齢も上になってきて、ヤバいと思っていたので」と正直に吐露。ふわふわの平塚日菜(15)は「先にデビューするのはAだとウワサだった。自分たちはステージをしっかり頑張ろうと言い合っていたところ、スタッフさんに呼ばれて『(デビューが)決まった』と聞かされて、みんなで号泣した」と明かした。
ライバル同士が手をつないでスタートラインに立つ。アイドル戦国時代。次なるターゲットはステージ外のグループだ。牧野が「他のアイドルやアーティストに負けたくない。もっとダンススキルも上げながら、いろんな人に知ってほしい」と言い切ると、伊藤は「オリコン1位を取りたい」と宣言。ふわふわのメンバーもコクリとうなずいた。
支えは、7カ月で170回以上ステージに立ち続けた自信だ。高さ30センチ足らずのステージは客席との距離が50センチ。ランウェーも延び、手を伸ばせば届く位置で360度からファンの視線を浴びる。一切、手抜きができない状況で、全力パフォーマンスを見せてきた。岩崎は「最初のころは私たちが歌っても、お客さんはシーンと静かだったけど、今はタオルやグッズを手に、一緒に踊ってくれる。応援されている実感がある」と胸を張った。
好きな言葉は「人生一度きり」という伊藤。「失敗を恐れずにたくさんのことに挑戦したい。夢は武道館、そして東京ドーム公演」と未来を見据えると、平塚も「私たちも東京ドームが目標。それに『ふ』と検索したら予測変換の一番に『ふわふわ』と出るようにすること」と応じた。
「手を伸ばせば届くアイドル」が原宿を飛び出し、手の届かないところまで飛躍する日は、そう遠くないかもしれない。