乃木坂・齋藤飛鳥に聞く(1) アイドルらしくいるのは無理
昨年、日本レコード大賞を受賞したアイドルグループ・乃木坂46の主力として活躍する齋藤飛鳥(20)。5日公開の映画「あの頃、君を追いかけた」では、映画初出演にしてヒロインを務める。同作は、2011年に台湾映画としてアジア各地で大ヒットを記録した作品のリメーク版。女優として本格的な一歩を記しつつ、8月8日発売の新曲「ジコチューで行こう!」ではセンターを務めるなど、トップアイドルとしても輝き続ける齋藤の素顔に迫った。【インタビュー(1)】
-出来上がった作品を見た感想は。
「初めて見た時は、やっぱり自分のお芝居の粗さとか、力量のなさに目が行ってしまって…。あまり冷静に作品全体を見ることはできなかったです。現場でも、毎日『難しいな』と思いながらやってはいて、満足して終わるみたいなこともなかったので、想像はしていたんですけど…(笑)。自分のことになると、甘く見てはいられないというか、どうしても気になって、反省点が多いですね」
-ドラマや舞台の経験はあるが、映画はやはり感覚が違った?
「違いますね。最初は戸惑いました。映画は大きいスクリーンなので、より微細な動きで伝えなければいけない。難しさを感じました。感情が表に出ないタイプなので…」
-演じたヒロインも、感情を押し殺すタイプ。
「そうですね。その辺は確かに共感はできました」
-今作で、女優業に目覚めた感覚は。
「目覚めたというとちょっと恥ずかしいんですけど…(笑)。この作品で、確かに難しさの壁には当たりましたけど、お芝居の楽しさも分かったし、面白いから追求したくなるという感じもあった。お芝居の仕事が続いたらいいな、という感じにはなりました」
-アイドルとしての姿とはやはり違った印象だが、“スイッチ”の切り替えは。
「今回の役が、あまりガチガチに作り込むような役柄ではなかったので、あまり自分の中でスイッチは意識しなかったです。むしろライブとかに臨む方が、アイドルのスイッチを入れないといけないので(笑)」
-自分の素の性格を分析すると。
「周りからよく言われるのは、『暗い』とか『冷たい』とかは言われますけど…(笑)。私的には、もちろん暗い部分はあって、それを表に出してしまう節もあるので、自分としては反省しなければならない、あまり見せてはいけないと思っているんですけど、出てしまう。あまり『こういう性格』とはっきり言える感じではないですね」
-「クールキャラ」を求められたりすることもあるのでは。
「今のこの感じに落ち着いたのは、別に意識したわけではなく、自然とこうなった感じです。私も初期のころは、アイドルらしくいようと頑張ってた時代もあって、それで無理だって気づいたので、今はそのまま出そう、作る必要はないなと。で、それを出し始めたら、クールなものや、ちょっと冷たいことを求められたりはするようになりました」
-今作では、近い世代の注目株俳優たちと共演。
「(主演の)山田(裕貴)さんは、お芝居の経験値が違って、いろいろ教えてもらいました。お芝居に向かっている姿を見るだけでも、勉強になることがたくさんありましたね」
-今作はキスシーンが話題に。ファンの反応もすごかったとか。
「私のファンの方は、私がこの作品に出るとなって、台湾版を見て下さった方が多くて。台湾版は最後に結構ガッツリとキスシーンがあるので、皆さん心配していらっしゃったんですけど(笑)、日本版はちょっと変化があったし、その辺はそんなに構えなくても大丈夫なんじゃないかなと思います(笑)」
-次にやってみたい役は。
「今作で反省点が多かったので、自分と似た役もまたやってみたいんですけど、山田さんが、『恋人を愛するが故に殺してしまうという狂気性を秘めた役』をやって欲しいとおっしゃって。確かに、私が普段好きな映画はそっち系が多いので、やってみたい気持ちはあります」
-自分にも狂気をはらんでいる実感は。
「どうですかね~。狂気性は誰にでもある気がするので、それを引き出してもらえるような作品があるんだとしたら、すごく面白そうだなと」
-今作のヒロインと、自分自身の恋愛観を比べると。
「あからさまに好意を見せない感じは、すごく共感できました。私も、もし好きな人ができても、言わないだろうし言えないだろうから…」