かまいたちの躍進が止まらない。山内健司（４１）と濱家隆一（３８）で２００４年に結成。１８年に大阪から東京進出後も毎年レギュラー番組を増やし、現在は１７本にも上る。今月開幕する吉本興業主催の超大型お笑いフェス「ＬＩＶＥ　ＳＴＡＮＤ　２２－２３」（１９～２１日、千葉・幕張メッセ。その後大阪、福岡公演）では、歴代最年少でライブの“看板”を担う「ライブスタンジャー」に就任。驚異的な勢いで走り続ける２人からは、決して現状にあぐらをかかない、尽きせぬ貪欲さが見えてきた。

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　とうとう吉本の“エース格”まで上り詰めたかまいたち。中川家、博多華丸・大吉、千鳥といった名だたるメンバーに肩を並べ、１２年ぶりに復活したお笑いフェスをけん引する。

　２００４年にコンビを結成した２人は、２００７～１０年の開催当時は、まだまだ若手。０７年にＡＢＣお笑い新人グランプリで最優秀新人賞を獲得するなど賞レースに顔は出していたが、「僕らを目当てで来てる人がゼロに近かった」（濱家）という状況だった。そこから着実に経験を積み、今度は後輩の手本になる立場に。濱家は「選んでもらったからには、あのころ先輩たちが盛り上げてたように俺らも盛り上げなあかんなと思ってますね」と力を込めた。

　１７年に「キングオブコント」で優勝し、１９年にはラストイヤーで「Ｍ－１グランプリ」準優勝と、全国の舞台で栄冠を積み重ねてきた。１８年４月には、テレビのレギュラー７本を“卒業”し、東京に進出した。

　その後も濱家のＭＣ力や山内のキレキャラ、多趣味などで注目を集めると、人気はさらに上昇。着々とレギュラーや冠番組を増やし、今やレギュラー１７本を抱えるなど、お茶の間で見ない日はないというほどだ。今年の目標には、レギュラー２０本を掲げる。山内は「レギュラー番組がいつ増えたか、記憶があんまりない。じわじわすぎて気づいたら増えてたなっていう感じ。このまま２０本にタッチしたい」と宣言した。

　忙しい合間を縫い、単独ライブやＹｏｕＴｕｂｅでの活動も精力的に行っている。昨年の単独ライブでは、吉本主催オンラインイベントの過去最高券売を記録した。ＹｏｕＴｕｂｅチャンネル登録者は現在１７０万人。どのフィールドでも器用に結果を残してきた。

　そんな２人が何より大事にするのは、生の反応と自分の信じる面白さ。濱家は「テレビ収録は全員が成功させようと思ってるから、みんなが笑ういい方に持っていく。でも劇場は生で反応が見えるから、『今の俺はズレてたんや』と答え合わせができる。生のお客さんをずっと見ておかないと、ちょっとブレたりするのかなと思うので、劇場での漫才は一番大事にしていかなきゃなと思います」と思いを口にした。

　進化を続ける２人が共通の目標に掲げるのが「大金持ちになりたい」という大目標。芸人を志したのも、売れて大金を手にするためで、「こいつの親族、子孫でよかったなと思ってほしい」（濱家）「お金あったら何でもできる。全てがお金」（山内）とキッパリ。すでに相当の額を稼いでると思われるが、「乾いて乾いて仕方がない。この渇きを潤すのは金しかない」（濱家）とまだまだ欲は尽きない。

　まさにブレークの最中にいる２人。濱家はかつて、２１年を一歩目、今年を勝負の年と位置づけていた。だが、現状を「まだ一歩目っていう感じは否めない」と分析。「レギュラー番組の方向性はなんとなく見えてきましたけど、全然満足できるレベルではない」と厳しい表情を浮かべた。

　では、進歩を感じられる日はいつになるのか。濱家は「多分、死ぬ直前まで来ないだろうなと思います」と答えた。「求められなくなる前に、寿命を迎えたなっていうのが一番いい。死ぬまでは満足はしないと思う。ずっと求められる存在でありたい」とキッパリ。山内も「求められてたら、９０歳まで働いても別にいいです。求められなくなったら、ゆっくりした老後を送りたいです。スペイン、狙ってます」と冗談めかしつつ、芸人としての誇りをかいま見せた。

　どこまでも求められたい、お金を稼ぎつづけたい。スターダムを駆け上がってなお、尽きない欲望こそが２人の原動力。精根尽き果てるその日まで、貪欲に突き進み続ける。

　◇かまいたち◇ボケの山内健司（やまうち・けんじ＝１９８１年１月１７日、島根県生まれ）とツッコミの濱家隆一（はまいえ・りゅういち＝１９８３年１１月６日、大阪市生まれ）のコンビ。吉本興業所属。ともにＮＳＣ大阪校２６期生で０４年５月結成。旧コンビ名は「鎌鼬」で、０９年４月にひらがなに変更。漫才、コントの両方をこなすオールラウンダー。１７年に第１０回キングオブコントで優勝、１９年に第１５回Ｍ－１グランプリで準優勝。ともに１７年に一般女性と結婚、２児のパパ。