オヤジ仰天「お前、そんな顔してたの」
親父が語ってくれた外国の有名人の素顔。昔、テレビ東京が、まだ東京12チャンネルと言っていた頃。親父の冠番組「三波伸介のちびっ子スペシャル」なる番組があった。
この番組にボクシングの神様、モハメド・アリが出演した。番組の中では「ホラ吹き」のキャラクター全開でほえまくっていたが、プライベートな会話は、通訳を介してだが、楽しく優しい好青年だったと語っていた。ボクシングを愛していた親父だったが、モハメド・アリとの出会いはことのほかうれしそうだった。
俺が中学生の時。香港喜劇映画「ミスター・BOO」が大ヒットしていた。主演のマイケル・ホイ、弟のサミュエル・ホイとリッキー・ホイが来日。親父の番組にゲストとして出演することになった。「ミスター・BOO」シリーズを見まくっていた俺にとって、親父との共演は興奮した。浅草公会堂での収録だった。早速、親父に聞いてみた。「マイケル・ホイってどんな人なの?」「反射神経が良くて面白いよ。素顔は紳士でインテリタイプ。俺のこと、好きだって言ってたよ」マイケル・ホイに好きだと言われる親父を又々尊敬した次第だ。
俺にとって、外国のスターは言葉の壁で素顔が分かりにくい面もあったが、親父の語りが面白く、伝わるものが強かった。しかし、親父が一番びっくりした外国のスターは…羽田空港のロビーで飛行機を待っていた親父。くつろいでいると向こうから見知らぬアメリカ人がニコニコ笑いながら寄って来た。アメリカ人は当然のように親父の横に座り、又、当然のように流暢ではない日本語で話しかけてきた。最初はファンかと思ったが、その態度がかなりなれなれしかった。片言の日本語で語る内容がプライベートで、しかも、その内容が合っている。
親父は聞いた。「お前、誰だ?」アメリカ人は周りを見て小声で「お~っ、ゴメン!デストロイヤーよ!」白覆面の魔王の素顔。「お前、そんな顔してたのか!びっくりしたなぁもう」オツカレ!