父が衝撃の告白「究極の悪役」と内通?
親父と一緒に行動すると究極な人に出会うことが多かった。究極な芸人、スポーツ選手といろいろだ。中でも強烈な印象が残っているのは「究極の悪役」だった。
少年の頃の夏休み。三波家の恒例行事と言えば、熱海温泉合宿旅行と都市対抗野球観戦だ。とにかく究極のスポーツマニアの親父は都市対抗野球を朝から全試合見るのが大好きなのだ。当時の後楽園球場で行われていた都市対抗戦は、一塁側と三塁側だけが満席で、バックネット裏はスカスカだった。
そのバックネット裏に麦わら帽子に手拭い、水筒に麦茶を入れて、スコアラーよろしくペンを片手に選手をチェックする。子供ながら、これに一日中付き合わされるのが正直苦手だったが、親父のわがままには逆らえない。仕方なく野球を見続ける。
夕方になり、やっと涼しくなった頃、親父は腰を上げ球場を後にする。親父と球場外をブラブラする。隣では仮面ライダーショーをやっている。小学生にはこちらの方が心を引かれる。親父が言う。「おい!仮面ライダーショーやってるぞ!」俺が見たそうな顔していると「見たいか?」とイタズラ顔でうれしそうに言うのだった。「実はな、お前には内緒にしていたが、お父さんはショッカーと内通しているんだ。」衝撃の告白に戸惑う俺。 言うやいなや、ショーの楽屋にズカズカ入っていく親父。中に入ると地獄大使がたばこを吸っている。こちらをギロリと見る。俺はドキリだ。「おう、三波ちゃん、どうしたの?」「俺がショッカーの一員だと息子に証明してくれ」地獄大使は満面の笑みで俺に迫り「僕、お父さんはショッカーの一員だ。ショッカーの家族もショッカーだ。だから君も…」
ショックな一日だった。でも俺のバックにはショッカーがいる。これで、俺は近所でも学校でも怖いものなしだと思った。この究極の悪役、地獄大使を演じた潮健児さんと親父は、若い頃から親友だったのだ。後々、ショッカーのおかげで俺の学校生活は平和だった。オツカレ!