こいつぁ春から、縁起がいいわえ!
「マロン!これは大成功ですよ!」
新年を寿ぎ、皆様お慶び申し上げます。私は初春から素敵な舞台に立てて、大喜びでございます。もう、観ていただけましたか?
2日から日本橋は三越劇場で上演しております「初春新派公演」。今年は河竹黙阿弥の生誕二百年に当たることから、各劇場で所縁の狂言がかかっておりますが、私たち新派は黙阿弥作品を現代に残した家族の物語です。黙阿弥の曾孫、河竹登志夫先生の名著「作者の家」を原作に、我らが新派文芸部、齋藤雅文さんが出演者一人ひとりに当てて書いた『糸桜』は、まさに黙阿弥の生きた江戸さながらの座付作者ぶりを発揮された新作なんです。
弟勘三郎は夜中であろうと突然私の部屋に飛び込んできて、「お姉ちゃま!これは大成功ですよ!」と思いを伝えに来ました。先日、突然甥の勘九郎が部屋に飛び込んできたかと思ったら、「マロン!これは大成功ですよ!」って。黙阿弥の台詞を確認しようと台本を渡していたんです。でも、私に指を差しながらだったものですから、「伯母に指を差すとは何事だ!」と一触即発…なんだか久しぶりに弟とのきょうだい喧嘩を思い出しました(笑)。しかも、それが弟の仏壇の前だったものだから、可笑しいやら哀しいやら。変なところが似てきました(笑)。
おかげさまで初日以来、普段は辛口の方々からも「稀に見る新作」「久里子十種を選定するなら入れるべき」と、お年玉のような言葉を頂戴して、かえって恐縮してしまいます。やっていて手応えのある舞台を褒めていただけるのは、なにより嬉しい。だから、まだ観てない皆様!騙されたと思って、まずは観てくださいね。「新派は敷居が高い…」「新派は古典の方が…」「シンパって、ナンダ?!」という皆様、まずは『糸桜』を!新派の新たな可能性がここにあります。
初春から役者冥利に尽きる作品に出会えました。今年も舞台の上から、たくさんお会いしましょう。隅から隅までずずずぃっと…お願いしますね!波乃久里子でございました。