たけし、大島監督に「また怒鳴って」

 15日に肺炎のため死去した映画監督・大島渚さん(享年80)の通夜が21日、東京・築地本願寺で営まれ、山田洋次監督(81)、篠田正浩監督(81)ら800人が参列した。

 83年の「戦場のメリークリスマス」に出演した映画監督・北野武ことタレントのビートたけし(65)は、自身を映画の道に導いた大島監督を「(出会いは)夢のようだった。ありがとうとしか言えない」としのんだ。戒名は「大喝無量居士(だいかつむりょうこじ)」。

 たけしは遺影に深く頭を下げ、長く手を合わせた。「もっと前から感謝しておけばよかったなあ」。おどけたような一言に、思いがあふれた。

 「映画人」としての才能を見抜き、導いた“恩師”だった。音楽家・坂本龍一(61)らと共に役者として起用された「戦メリ」で高い評価を集めた後、89年に監督デビューしたたけしは「HANA‐BI」(97年)でのベネチア映画祭金獅子賞などで世界に名をはせた。

 「あのころは何も分からなかったけどね。龍ちゃん(坂本)も海外で賞取るようになって、自分もね。すべてはその(『戦メリ』の)あたりからですから、ありがたいですね」

 大島イズムにはいまだに影響を受けており「『寄りの画を多用するやつはヘタ』と言ってた。僕もなかなか寄りが撮れない」と笑う。

 最後に会ったのは00年の主演作「御法度」でカンヌ国際映画祭に参加した際で、脳こうそくの後遺症で車いすの大島監督に「このまま運んでいったら『楢山節考』だ」と声をかけふざけ合った。闘病生活は「つらいから見ないようにしていた」が、自筆の絵や手紙で励ました。

 「よくあんな問題児が、映画界を引っ張ったよね。皆が手を出さないところに踏み込んで。黒澤(明)作品もそうだけど、大島作品は映画を目指す人はぜひ見て勉強してほしい」と訴えたたけし。「ありがとうしか言えないね。そのうちおれも行くし、また向こうで怒鳴ってください」と、天を仰いだ。

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