坂本龍一、大島監督は「僕のヒーロー」

 15日に肺炎のため亡くなった映画監督・大島渚さん(享年80)の葬儀・告別式が22日、東京・中央区の築地本願寺で営まれた。

 「戦場のメリークリスマス」(1983年)に出演し、音楽も手がけたミュージシャン・坂本龍一(61)は大島監督を“僕のヒーロー”と表現、「今日あるのはあなたのおかげです」と声を震わせながら弔辞を述べた。会場にはジャーナリスト・田原総一朗氏(78)、俳優・松田龍平(29)ら700人が訪れ、大島さんに最後の別れを告げた。

 「『戦場のメリークリスマス』に出演したことで、まったく人生が変わりました。あれによって今の自分があると思います。心からの恩人です」‐。「戦メリ」で大島監督とともに訪れたカンヌ国際映画祭で、後に「ラストエンペラー」(87年)でタッグを組む英国のベルナルド・ベルトルッチ監督(71)と親交を深めた。これが日本人初のアカデミー賞オリジナル作曲賞受賞へとつながった。世界への扉を開いてくれた大島さんに感謝の言葉は尽きなかった。

 「戦メリ」の音楽を担当したのは、自らの売り込みがきっかけだった。直接出演依頼に来た初対面の大島さんに「(映画)音楽をやらせてくれるなら出演します」と交渉し、その場でOKを勝ち取った。「(映画は)まったくの素人でしたから、即答した大島さんも大胆でしたね」と振り返った坂本。実は15歳のころに「日本春歌考」(67年)を見て以来「あなたはぼくのヒーローになりました」というほど大島さんに心酔していたことも明かした。

 2年前に自宅を訪れたのが最後の対面となった。坂本は長い闘病生活を終えた大島さんに「やっと解放されましたね。映画の天国で偉大な監督といろいろ話してると思います」と語りかけた。

 強行スケジュールを押しての参列だった。大島さんが亡くなった15日には日本に滞在していたが、翌16日には仕事のためニューヨークに。葬儀に出席するため、21日夜に再び日本に戻り、この日も葬儀の最後までいられなかった。だが、出棺時の音楽は「戦場のメリークリスマス」。坂本の思いを乗せた楽曲が静かに大島さんの旅立ちを演出した。

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