有馬稲子 三国さんから本気で殴られた
映画「釣りバカ日誌」シリーズなどで知られる俳優・三国連太郎さんが14日午前9時18分、急性呼吸不全のため、東京・稲城市の病院で死去した。90歳。
森崎東監督(『美味(おい)しんぼ』など三国さんの出演映画を手掛けた)「ちょっと構えた独特の感性で、ふとした拍子に驚くような演技をなさった。それを見逃さず、すくい取らないといけないので、監督としては、油断のならない人でした。他の俳優にないものをたくさん持っており、演技をして違う人間になり変わるのがお好きだったと思う。存在感が大きく、重い人でした」
俳優・仲代達矢「小林正樹監督の『切腹』などで共演して、当時は随分演技論をたたかわせました。役者同士がそういうふうに研磨し合った時代でした。三国さんは演技にしても生き方にしても個性が強く、演じるということを突き詰めてこられた。とても尊敬する方でした。日本映画にとって大事な俳優がまた一人亡くなられた。残念で仕方ありません」
女優・有馬稲子「映画『夜の鼓』で共演したとき、三国さんから殴られるシーンがありました。三国さんは本気で私を殴り、夢中になると前後分からなくなっていました。晩年は穏やかな役も演じられましたが、若いころはシャープで怖かった。日本の名優の一人がいなくなって本当に残念です」
映画評論家・品田雄吉「デビューしてから、日本の映画史と共に歩んできた。出演作を重ねていくうちに円熟味を増し、味のある演技を見せるようになった。三国さんの場合は、その円熟味が人間としての円熟と重なっていた。映画と人生が重なっていて、映画そのものが三国さんの人生だったと思える。戦後の日本映画を代表する貴重な名優だった。とても残念です」