三国さん“故郷”静岡の自宅で密葬
14日に急性呼吸不全のため90歳で亡くなった俳優・三国連太郎さんの通夜が16日、静岡県沼津市の三国さんの自宅で営まれた。
高台の自宅から見えるのは三国さんの“故郷”ともいえる静岡の海。
密葬として、幼少期と晩年を過ごした地でひっそりと営まれた通夜には、親族のほか、阪本順治監督(54)、女優・大楠道代(67)らも出席。長男で俳優の佐藤浩市(52)はドラマの撮影を終えてから駆けつけたが、何も語らなかった。
通夜は午後6時から、親族や、ごく近い関係者ら20~30人が参列し、静かに営まれた。三国さんの遺体は白い花に囲まれており、祭壇には笑顔の遺影が飾られた。三国さんは生前、「戒名もいらない、散骨して誰にも知らせるな」と話していたため、遺族も三国さんの意向に沿い、詳しい様子などは公開しなかった。
関係者によると、自宅で葬儀を行うことも三国さんの遺志で、入院生活に入る前に、日々を過ごしたこの自宅に、深い思い入れがあったという。
2000年ごろに建てた当初は別荘として使用していたが、最近はこちらが自宅となっており、撮影の合間にも帰ってくるなどしていた。
終(つい)の棲家(すみか)から見渡せるのは静岡の街や海。生まれは群馬県だが、幼少期を伊豆で暮らした三国さんにとっては故郷のような場所だった。遺作となった映画「わが母の記」(12年)の撮影も、沼津などで行われ、撮影中にスタッフに、現地のデパートの屋上で遊んだ思い出を語るなどしていた
この日は、親族のほかに映画「大鹿村騒動記」(11年)で仕事をともにした阪本監督、三国さんの監督作品「親鸞・白い道」(87年)に出演し、一緒にカンヌ映画祭にも参加した大楠ら、親しい仲間も弔問に訪れた。長男の佐藤は、法要には間に合わなかったが、撮影終了後に駆けつけ、父との最後の夜を過ごした。