藤圭子さん自殺か?波乱の人生に幕
「圭子の夢は夜ひらく」などのヒットで知られる、歌手・藤圭子さん(62)が22日、東京都新宿区内のマンションから転落死した。マンションには30代の知人男性と同居しており、自殺とみられる。藤さんは79年に引退して渡米。96年には、娘の歌手・宇多田ヒカル(30)と一緒に新曲をリリースしたが、近年は表舞台から姿を消しており、消息もはっきりしていなかった。
昭和の歌姫が、衝撃的な形で人生の幕を下ろした。
警視庁新宿署などによると、藤さんは、22日午前7時ごろ、西新宿のマンション前の路上で、頭から血を流しあおむけに倒れているのを通行人に発見された。Tシャツに短パン姿で意識はなく、心肺停止状態で病院に搬送され、間もなく死亡が確認された。争ったような跡や衣服の乱れなどがないことから警視庁は自殺を図ったとみている。
身元がわかる所持品はなかったが、飛び降りた可能性がある28階建てマンションの13階の部屋を同署員が訪ねたところ、藤さんの知人の30代男性の自宅であることが判明。藤さんはこの男性と6年ほど前から同居していたという。
男性は就寝中で、前夜は一緒だったはずの藤さんの不在を、この時知ったという。高さ約1メートルのベランダの手すりの外側にスリッパの片方が残され、もう片方は、藤さんが倒れていた現場近くに落ちていた。遺書などは見つかっておらず、衝動的な行動だった可能性もある。新宿署によると藤さんの遺体は「元旦那さんに確認いただいた」としており、07年に離婚した音楽プロデューサー・宇多田照實氏(65)とみられる。娘の宇多田は立ち会っていない。
藤さんは独特のハスキーボイスが魅力で、69年「新宿の女」でデビュー、「圭子の夢は夜ひらく」など数々のヒットを飛ばしたが、79年に突然引退して渡米。その後は、90年代半ばに照實氏とヒカルの3人でCDを発売したが、その後は表舞台から姿を消していた。
現役当時を知る関係者によると、感情の起伏が激しく気分が高揚することもあれば、落ち込むようなこともあったという。別の関係者は「普段から、とにかく無口な人だった。忙しいこともあり、周りとの交流や歌手仲間の友達とかはいなかったのでは。孤独な方だった」と話している。
昨秋、長年にわたって藤さんの付き人を務めていた女性が死去し、仕事仲間など多くの関係者が集まったが、藤さんは葬儀に姿を見せず、藤さんの消息を知る人もいなかったという。23日には藤さんを見いだし、育てた恩師で、今年3月に死去した作詞家・石坂まさを氏(享年71)のお別れ会が都内で開催される。ある関係者は「先生の元へ行ったのかな。一緒に幕を閉じたかったのかな」と涙をこらえながら話していた。