やなせたかし氏死去…アンパンマン作者
「アンパンマン」シリーズなどで知られる絵本作家で漫画家・やなせたかし(本名柳瀬嵩=やなせ・たかし)さんが13日午前3時8分、心不全のため都内の病院で死去した。94歳だった。やなせさんの遺志で密葬が15日に営まれ、漫画家・ちばてつや氏(74)や職場のスタジオスタッフら60人が参列。棺には、アンパンマンのぬいぐるみが納められた。後日、しのぶ会が予定されている。
7月6日に行われた映画アンパンマン最新作での舞台あいさつで、「舞台で死んだら、いい宣伝になる」とブラックジョークを飛ばしつつ、元気な姿を見せていたやなせさん。あれからわずか3カ月、国民的キャラクターの生みの親は、突如、天国へと旅立った。
15日に営まれた密葬後に会見した、「アンパンマン」絵本シリーズを出版するフレーベル館関係者によると、やなせさんは8月下旬に、体調を崩して入院。12日夜までは付き添いのスタッフに明せきな対応をしていたというが、13日未明に容体が急変。駆けつけたスタッフに看取られて、息を引き取ったという。やなせさんは2011年に膀胱がんが見つかり、その後、肝臓に転移していたことも明かされた。
やなせさんは戦後、新聞社などで勤務した後、フリーに。69年に童話の中で登場させたキャラクターをもとにした「アンパンマン」は、88年にテレビアニメ化され、09年にはキャラクター数でギネス記録に認定された。
数年前にはスタッフに「引退する」と漏らしていたというが、東日本大震災の被災地で「アンパンマン」のテーマソングを聞いて笑顔になる子どもたちを見て、「引退やめた。死ぬまで現役」と宣言。その言葉通り、入院中も病室で執筆作業を続け、来年公開予定の映画アンパンマンについても、打ち合わせをしていたという。11月には現状で遺作となる、絵本「アンパンマンとリンゴぼうや」が発売される。
日本全国に愛と勇気を届け続けたやなせさん。輝かしい功績は、いつまでも色あせることはない。