アニメ「サザエさん」の磯野波平の声などで知られる声優の永井一郎（ながい・いちろう）さんが２７日未明、虚血性心疾患のため広島市内で死去した。８２歳。大阪府出身。葬儀・告別式の日取りは未定。広島中央署などによると、広島市のホテルの浴室で２７日昼に倒れているのが見つかり、病院で死亡が確認された。ナレーションの仕事で同市を訪れていた。

　深みのある温かな声で数々のキャラクターを演じてきた永井さんが帰らぬ人となった。

　広島中央署や所属事務所などによると、永井さんは２６日午後、中国放送（ＲＣＣ）の番組のナレーション収録のため、広島市で仕事をこなし、食事をした後に市内のホテルに１人で宿泊。２７日になりチェックアウトの時間を過ぎても部屋から出てこなかったためホテルの従業員が様子を見に行ったところ、浴槽で永井さんが倒れていたという。病院で死亡が確認された。

　永井さんは京大文学部卒業。会社員生活を送りながら舞台俳優を目指して養成所に通い、卒業後は「劇団三期会」結成に参加した。

　その後、声優として活動し、１９６９年の放送開始から現在までフジテレビ系アニメ「サザエさん」の磯野波平を担当。「バカモ～ン！」としかる声は多くの人から親しまれた。

　フジテレビによると、永井さんは２３日に行われた「サザエさん」の収録に参加し、２月９日放送分まで取り終えている。後任は今後、検討していくという。

　ほかにも数多くのキャラクターを演じ、「ゲゲゲの鬼太郎」の子泣き爺や「機動戦士ガンダム」のナレーションなども担当。また、ＴＢＳ系情報番組「情報７ｄａｙｓニュースキャスター」のナレーションも担当しており、２５日の放送でも永井さんがナレーションを務めていた。