林隆三さん急死…名脇役として存在感

 数多くの映画やドラマで活躍した俳優の林隆三(はやし・りゅうぞう)さんが4日、腎不全のため、東京都内の病院で死去していたことを9日、所属事務所が発表した。70歳だった。5月28日に都内でライブを行ったが、今月3日に体調を崩し入院。そのまま帰らぬ人となった。葬儀は近親者で行った。喪主は長男の征生(まさお)氏。

 名バイプレーヤーが突然、天国に旅立った。

 関係者によれば、林さんは3日に体調を崩し、病院に運ばれ、入院したという。そのまま容体は回復せず、翌4日に、征生氏と長女で女優の林真里花(39)がみとる中、亡くなった。

 直前まで元気な姿を見せていた。1週間前の5月28日には東京・目黒のライブハウス「ブルースアレイ」でライブに出演。約2時間に及ぶステージで、バンドを率いてボーカルを務め、エネルギッシュに歌った。林さんの25年ぶりの本格的な音楽活動再開を喜び、会場関係者は「『年内にもう一度やろう』と話し合った。具合の悪そうなところはまったくなかった」と話した。

 友人だった歌舞伎俳優の片岡仁左衛門(70)は「今月1日、電話でも元気な声を聞いたばかり。とてもショックが大きい」と驚いたが、「僕も見に行った先月28日のライブを元気につとめあげられたこと、彼もさぞ本望だったと思う」としのんだ。

 東京都出身の林さんは俳優座養成所を経て、1970年に木下恵介監督のドラマ「俄(にわか)」で主演。77年には新藤兼人監督の「竹山ひとり旅」が評価され、日本アカデミー賞主演男優賞を受賞した。

 味わいのある演技でさまざまな役どころをこなし、映画「早春物語」「三たびの海峡」、ドラマ「ザ・ハングマン」、NHK大河ドラマ「黄金の日日」などに出演した。渋みのある声で、童話の朗読劇やナレーターとしても活躍。一方、私生活では99年に女優の青木一子と離婚していた。

 俳優座同期の俳優、小野武彦(71)は「4月に俳優座養成所の友人数人と会う機会があり、昨年の手術がうそのように、本当に元気にしていた」と早すぎる別れを悔しがった。

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