中条きよし「実感ない」山口さん死去に
作詞家で直木賞作家の山口洋子(やまぐち・ようこ)さんが6日午前1時6分、呼吸不全のため、都内の病院で死去していたことが15日、分かった。77歳。名古屋市出身。葬儀・告別式は近親者のみで済ませた。喪主は妹安原多恵子(やすはら・たえこ)さん。訃報から一夜明けた16日、コンサート「日本歌手協会 歌謡祭」(11月27、28日、東京・ゆうぽうとホール)で、山口さんの追悼コーナーが設けられることが分かった。
山口さんは昨年1月に誤嚥性(ごえんせい)肺炎で入院し、その後も入退院を繰り返した。今月5日になって容体が急変、近親者にみとられて息を引き取ったという。
訃報から一夜明けた16日、歌手で俳優の中条きよし(68)、歌手の山川豊(55)が山口さんを悼んだ。
1974年に山口さん作詞の「うそ」が大ヒットした中条は「山口先生は僕の人生そのものです。先生の存在は母親と同じで、親というものはいつまでも生きていると思ってしまうものだけれど、山口先生も僕よりも長く生きていられるものと思ってきました。お亡くなりになったことを伺っても実感がありません」と、“母”の死が信じられないよう。
98年に山口さん作詞の「アメリカ橋」がヒットした山川は「『アメリカ橋』という作品をいただき、私自身が、今までとは違った新しい山川豊というものを発見することができました」と回想。「出会えたこと、心から感謝しています」と冥福を祈った。
山口さんは57年、東映ニューフェイス4期生に選ばれ女優デビュー。その後、東京・銀座に高級クラブ「姫」をオープンし、故三船敏郎さんら映画スター、作家、プロ野球選手らが常連となった。
68年頃から作詞家としても活動し、芸名を付けた五木ひろしの「よこはま・たそがれ」や故石原裕次郎さんの「ブランデーグラス」など歌謡史に残るヒット曲を数多く手がけた。80年代には小説の執筆も始め、85年に「演歌の虫」「老梅」で直木賞を受賞した。
熱烈な阪神ファンで、本紙で「女(め)らんめぇ 阪神 恋歌」や「惚れた虎だよ また惚れた」などを連載した。取材と激励を兼ねて球場やキャンプ地などに足しげく通い、多くの野球人から愛されていた。