勘三郎さんの鼠小僧、浅草に見参!
2012年12月に亡くなった歌舞伎俳優・中村勘三郎さん(享年57)をしのんだ「平成中村座発祥の地記念碑」と「鼠小僧」像のダブル除幕式が10日、東京・浅草の2カ所で行われ、長男・中村勘九郎(33)と次男・中村七之助(31)が出席した。「鼠小僧」像は、もともと浅草公会堂前の屋根にあったが、勘三郎さんに模して作り替え。外国人にも人気の町に、新たな観光スポットが誕生した。
万人に愛された勘三郎さんが、民衆に慕われる“義賊”として、ゆかりの地によみがえった。浅草公会堂前の呉服屋の屋根にあった「鼠小僧」の像を、勘三郎さんに模してリニューアル。以前の像は浅草寺に顔を向けていたが、若手役者の登竜門とされる、毎年恒例「新春浅草歌舞伎」の会場でもある公会堂の方角へ、向きも改められた。
千両箱を抱え、ほおかむりからのぞかせるりりしい表情に、勘九郎は「似てたからビックリしちゃいました。そっくりに作ってくれてうれしい」と太鼓判。「大雨や雪の日は心配です」と“父の身”を案じて、笑わせた。
勘三郎さんが主人公を演じた、歌舞伎「野田版 鼠小僧」を手掛けた脚本家・野田秀樹氏(59)も除幕式に飛び入り参加。「本人はこんなところに乗っけられて、『何だい!?』って怒ってるかもしれないけど、皆さまに愛され幸せ者」と天国の盟友に思いをはせた。
また、2000年に始まった「平成中村座」のテント小屋があった隅田公園には、記念碑が建立された。中村屋の定紋が刻まれ、高さは勘三郎さんの身長と同じ167センチ。思い出が詰まった場所で勘九郎は、「平成中村座は父の夢でした。ここに建ったときの、父の喜びと覚悟の顔は忘れられません」と懐古し、感極まった。
記念碑建立の費用として、地元住民の呼びかけで1195人から寄付金1130万円が集まった。七之助は「父は死してなお、何か一つの目標に引っ張ってくれるのはすごい。息子として誇りです」と、親子のキズナを再確認していた。