愛川欽也さん死去 直前まで「仕事に」
もう「おまっとさんでした」は聞けない。半世紀にわたって幅広く活躍し、「キンキン」の愛称で親しまれたタレントで俳優の愛川欽也(あいかわ・きんや、本名・井川敏明=いがわ・としあき)さんが15日午前5時11分、肺がんのため都内の自宅で死去していたことが17日、分かった。80歳。東京都出身。この日、都内で密葬が行われ、遺体は荼毘(だび)に付された。
愛川さんが愛妻のタレント・うつみ宮土理(71)ら家族にみとられて旅立った。
この日午前8時頃、自宅からひつぎが運び出された。憔悴(しょうすい)した表情のうつみが遺影を胸に抱いて都内の斎場に向かい、近親者のみで密葬を行った。午前10時50分、遺骨を抱えたうつみは無言で帰宅。所属事務所関係者は「今日は話せる状態ではない」と説明した。
愛川さんは昨冬、体調不良を訴えて検査を受け、肺がんと診断された。通院しながらの在宅治療を選び、今年5月には自身が主演・監督を務めるテレビドラマ「港古志郎警視」シリーズ最新作を撮影予定だったが、3月に断念。亡くなる直前まで「仕事に行こう」と意欲を見せていた。
愛川さんは20年間宣伝本部長(司会)を務めていたテレビ東京系「出没!アド街ック天国」を3月7日放送分をもって降板。同28日放送分にVTR出演して“退任”を報告し、「じゃあね!」と別れを告げた。
有料インターネット放送「kinkin.tv」も今月6日に突然終了したことから健康不安説が浮上。仕事復帰を望む愛川さんが病状を伏せることを望み、うつみは8日、「風邪」と発表した。死去した15日には死亡情報が流れ、自宅前には15日から数十人の報道陣が集まっていた。
「キンキン」こと愛川さんは、「ケロンパ」ことうつみとテレビ番組「きんきんケロンパ歌謡曲」での共演を機に再婚。芸能界きってのおしどり夫婦だった。
夫妻と親交のあった歌手の美川憲一(68)はこの日、都内で、うつみが「キンキンじゃなかったら私はこんなに幸せじゃなかったわ」とのろけていたことを明かした。俳優・渡辺徹(53)との結婚で仲人を務めてもらったタレント・榊原郁恵(55)も「愛川さんは宮土理さんが大好きで、宮土理さんも愛川さんが大好きで、本当に二人とも支え合っていて」とコメントした。
タレント・神田うの(40)は、愛川夫妻が神田の結婚式に出席した際「うのちゃん、一生別れちゃダメ。別れる時はどちらかが死ぬ時だよ」と助言されたという。その言葉通り、夫妻は40年近く公私ともに連れ添った。