前田健さん死去 路上で倒れ救急搬送
24日夜に東京・新宿の路上で倒れ、心肺停止で緊急搬送されたお笑いタレント・前田健さんが26日午前1時36分、虚血性心不全のため、都内の病院で亡くなった。44歳。所属事務所によると、一度も意識を取り戻すことなく、息を引き取ったという。以前から不整脈を気にしていた前田さんは、24日の日中はテレビ番組の運動企画に参加。休憩時間に体調不良を訴えたが、最後まで収録を続けていた。通夜、葬儀・告別式は未定。
繁華街の路上で突然意識をなくしてから約30時間、奇跡は起きなかった。懸命の治療も実らず、一度も意識を取り戻すことなく、前田さんが息を引き取った。天国に旅立つには、あまりに早過ぎた。
前田さんは24日午前9時から午後3時まで、栃木県内でテレビ朝日系「金曜★ロンドンハーツ」の収録に参加。運動企画の途中で体調不良を訴えるも、最後までやり終えて、新宿で食事をした直後に路上で倒れた。両親や兄夫婦ら実家で同居していた家族が、病院に駆けつけて回復を信じたが、残念ながら願いは届かず。前田さんが無言の帰宅をしたとみられる都内の実家には、愛された人柄を示すように弔問客が相次いだ。
芸能界で前田さんはマルチな才能を発揮した。歌手・松浦亜弥(29)のモノマネで芸人としてブレーク。役者業も評価され、ドラマや映画に多数出演。振付師での手腕も振るった。
“オネエタレント”としても確固たるポジションを築いた。05年11月、著書の発売記念イベントで「僕はゲイなので男性に恋をします」と衝撃のカミングアウト。ブログやツイッターで同性愛について赤裸々につづり、11年5月にはセクシャル・マイノリティーを題材にした自身の小説「それでも花は咲いていく」を原作に、映画監督デビューを果たした。
不摂生な暮らしを自覚していたが、酒は飲まなかった。下戸ながら昨年5月まで都内でバーを経営。来客に本格的な手料理を振る舞って、家庭的な一面ものぞかせていた。仕事でプライベートで、さまざまな顔を持ち合わせた前田さんの生涯は、わずか44年で幕を閉じた。