「武士の一分」作曲家・冨田勲さん死去
作曲家でシンセサイザー奏者の冨田勲さんが、5日午後2時51分、慢性心不全のため、都内の病院で亡くなっていたことが8日、分かった。84歳。葬儀・告別式はすでに親族で営まれた。お別れ会を後日予定しており、喪主は長男で慶応大教授の勝(まさる)氏。
5日昼ごろに自宅で倒れた冨田さんは、緊急搬送先の病院で、家族にみとられながら息を引き取った。関係者によると、10年以上前から心臓に持病を抱えていたという。
冨田さんは電子音楽作曲家の先駆けとして世界的に活躍。74年の「月の光」が日本人で初めて米グラミー賞4部門で候補になり、アニメ「ジャングル大帝」やNHK大河ドラマの第1作「花の生涯」のテーマ曲、「武士の一分」(山田洋次監督)などの映画音楽も手掛けた。共演歴のある米歌手のスティービー・ワンダー(65)からも、一目置かれる存在だった。
山田監督は「無口な人でしたが、その音楽は実に雄弁でした。『たそがれ清兵衛』『学校』シリーズはじめ多くの作品で、冨田さんの美しい音楽にどれだけ助けてもらったかわかりません。まだまだ一緒に仕事をしたいと思っていました。同世代のぼくは、とても悲しいです」とお悔やみのコメントを寄せた。