地下アイドルがLINEと電話番号を公開し「人生相談乗ってます」その理由と内容とは
「大阪で一番売れてないアイドル」というキャッチコピーを掲げ活動する地下アイドルグループ、「くぴぽ」。“売れてない”とは言うが野外フェスをメンバー自ら主催したり、東京でのワンマンライブを成功させるなど多方面で活躍している注目のグループだ。個性派揃いのメンバーの中でもひと際目を引くのは「くぴぽ」発起人でリーダーの「まきちゃん」。性別年齢不詳の「女の子になりたいアイドル」、ライブ中に共演者にジャイアントスイングをかける…それだけでも情報量多すぎだが、まきちゃんにはもう一つ重要な活動がある。
「電話番号とLINEのIDを公開して人生相談に乗っています」。一体どんな意図があるのか本人に聞いてみた。
-アイドル活動を始めたきっかけをお聞かせください。
まきちゃん:元々はお笑いやバンド活動をやっていました。7年ほど前に、共通の音楽趣味を持っていた女友達と「激しめの音楽やりたいよね」と話したノリで、「くぴぽ」名義でバンドを組みました。でも演奏が下手すぎてアイドルの真似事でもしようとオケで歌うようになりました(笑)。実際アイドル活動してみると、お笑い系の面白いこともできるし、激しい音楽もできるし、ずっと秘かに憧れてた女の子にもなれるし、やりたいこと全部できるんじゃないかと本気になっていったんです。ノリで始めたアイドル活動ですが一番評価して頂けて、他の活動を減らして今はアイドル一本でやっています。
-個人情報を公開して人生相談をする理由は?
まきちゃん:特別なことをしたつもりはなかったんです。元々アイドル仲間から相談をよく受けていましたし、過去に銀杏BOYZの峯田和伸さんや作家の坂口恭平さんがメールアドレスや電話番号を公開して「いのちの電話」のような活動をされているのを知っていて、自分もやってみようと思ったのがきっかけでした。
-どんな人から相談を受けているのですか?
まきちゃん:9割は女の子から、あとは他グループのアイドルファンです。くぴぽのファンは気を使うのかあまり送ってこないですね(笑)。平均すると月2~3人ですが、最近は1週間で6人LINEが来ました。忙しい時は返信まで1~2日待ってもらっていますが、基本的にすぐ返すようにしています。リピーターもいます。
ーどんな相談を受けるのですか?
まきちゃん:7割は恋愛です。私自身、アイドルを始めてから恋愛と距離を置いているので、だからこそ客観的なアドバイスができているかもしれません。たまに、「余命が少なくて…」など命に関する相談が来ることもあります。どう答えたらよいのか、軽い気持ちで答えられないと悩むこともあります。飲み会のノリで送ってくる人もいましたが、そういう時は「真剣に相談してくれている人に悪いから…」とお断りしています。
ーどんな思いで相談を受けているのでしょうか?
まきちゃん:はじめは、「人を救いたい」より「自分が気持ちいいからやってる」みたいな感覚でした。人の役に立っていることで自分の存在価値を確かめていた部分があるのかもしれません。ですが今は相談に乗ることで、相手にその夜だけでも安心して眠ってもらえたらと思っています。これといった答えが出せなくても共感は大事です。希望があれば会ってもいいと思っています。たまに「お金を取った方が良いのでは?」と言う方がいますが、利益は何か別の形で巡り巡ってきたらいいなと。
時々ライブ会場で「相談乗ってくれてありがとうございました」とチェキを撮っていってくれる人がいるんです。人生相談をきっかけにくぴぽを知り、ライブに足を運ぶきっかけに繋がればいいなと思っています。
ー今後の目標を教えてください。
まきちゃん:人生相談はどうやったら傷つけずに答えられるかを瞬発的に考える能力が必要なんです。少しでもそれを極めて、応援してくれる人が増えたらいいなと思っています。また、テレビの音楽番組で歌いたいという夢を持っているので、単純にアイドルとして売れたいです!
話を聞くうちに、ステージ上のキャラとは結びつかないまきちゃんの穏やかで誠実な一面が見えてきた。相談に来る人々に寄り添い、親身に答えるその姿は誰にも真似できないオンリーワンのアイドルといえるだろう。皆さんも誰かに聞いてほしい悩みがある時はまきちゃんを思い出してほしい。(青島ほなみ)
◆「くぴぽ」 初恋いちごレッドのまきちゃん、あげぽよピンクのひめちゃん、セルリアンブルーのなだれ、小悪魔ホワイトのあむ、から成る超かわいい女の子4人組(?)。