オードリー・タンが台湾文化語る、日本文化は村上春樹、攻殻機動隊、エヴァンゲリオンに親しむ
台湾文化推進イベント「脳内トラベル台湾」が16日にスタートし、都内で会見とトークイベントが行われた。デジタル担当大臣オードリー・タン(唐鳳)氏がオンライン参加し、台湾コンテンツの魅力を語った。
タン氏は「多様な文化、アイデンティティが融和する中でイノベーションやコンテンツが生まれること、他の文化を排除や圧迫しないことが特徴だと思います」と紹介。現在のイチオシは陳耀昌氏の小説『傀儡花(邦題:フォルモサに咲く花)』を原作とした大河テレビドラマ『斯卡羅(seqalu、スカロ)』で、19世紀後半における台湾原住民と外国勢力との間に発生した事件を題材に、台湾らしい多様性が描かれている点を見どころに挙げた。今月下旬からは海外向け配信事業「Taiwan+」で公開される予定だ。
自身が影響を受けたものには男性歌手ルオ・ダーヨウ(羅大佑)を挙げ「私は幼い頃より言葉に興味を持ちました。ルオ・ダーヨウのアルバム『未来の主人公』の歌詞を味わっていて、それから曲を楽しむようになったことが若い頃の思い出です」と語った。また、日本文化へも言及。「若い頃は村上春樹の翻訳本に親しみました。その後はアニメ映画『攻殻機動隊』『エヴァンゲリオン』といったSF的なものを楽しんでいます」と話した。
文化の移入、置き換えを超越した「トランスカルチャー」を今後のキーワードに挙げた。「お互いを尊重し、相手の立場で自分を見直すことが大切になると思います。自分の立場を守り、言い張るだけでは誤解や衝突が生まれます。共通の価値を見いだすことで創造が生まれる。レッテル貼りや分類はやめることです」とし、そのために「共通の経験がカギになる。日本や台湾では地震や台風といった共通の経験が、コミュニケーションの材料になると思います」と語った。
「脳内トラベル台湾」では今年邦訳された台湾作品をはじめ、50作品以上の台湾関連書籍と、台湾発の⽣活雑貨10ブランド以上を紹介。都内の「誠品⽣活⽇本橋」「本屋B&B」、埼玉県内の「ダ・ヴィンチストア」の各書店に特設コーナーが設置される。今後は本屋B&B 共同経営者の内沼晋太郎氏、直木賞作家の乃南アサ氏、声優の池澤春菜氏のトークイベントが予定されている。
(よろず~ニュース・山本 鋼平)