【弁護士の見解】飯塚被告への禁錮5年判決「減軽2年は引き過ぎ」 判例のモデルケースにはならない
東京・池袋で2019年4月、松永真菜さんと長女・莉子ちゃんが乗用車にひかれて死亡し、9人が重軽傷を負った事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長・飯塚幸三被告の判決公判が2日、東京地裁で行われ、禁錮5年(求刑禁錮7年)の実刑判決が言い渡された。判決について、弁護士法人・響の古藤由佳弁護士がよろず~ニュースの取材に対応。求刑からの減軽には理解を示しつつ「2年は引きすぎでは」との見解を示した。
古藤弁護士は「減軽の理由として『90歳と高齢で、体調も万全ではないと考えられる』などとされていますが、反省の色がないとも指摘されています。そのような状況で、2年の減軽というの少々やりすぎかなとも思います」と解説。一方で「90歳であっても、免許証を有していれば運転できる仕組みになっており、高齢で判断能力が多少鈍ることは理解される。高齢を理由とした減軽に、合理性は見いださざるを得ない部分はある」とも指摘した。
さらに「判決で法定刑の上限が出るということ自体が、あまりないこと」とも説明。加えて、判断の基準として「当然、実刑を科して償ってもらわないといけない事例。収監されることを前提として考えた際に、高齢であることでどれだけの年月に耐えうるのかということも、ある程度は考慮されたと思います。気持ちとしては(禁錮5年は)短すぎるとも思いますが、ギリギリの判断とも言えそうです」と話した。
あおり運転など、運転者への求刑が注目されている世の中。今回の事件も、過失運転致死傷ではなく危険運転致死傷の罪に問うべきとの声も散見された。古藤弁護士は「危険運転とまでは言えないかなと。自動車に乗る前から一人で歩けないなどの状態で、運転自体が無謀であれば別ですが」と判断。その上で「今回の事件はあまりに特殊で、判例としてのモデルケースにはならないでしょう。まず一般的に、人が亡くなっていてて反省していないということ自体がちょっと異常。高齢者の免許保持についての是非を問うきっかけにはなるかもしれませんが…」と厳しい口調で断じた。
(よろず~ニュース・福島 大輔)